日銀短観、中小企業は10年9カ月ぶり低水準まで悪化
日本銀行が10月1日発表した2020年9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(20年6月)から5ポイント上昇しマイナス38、中堅企業も4ポイント上昇しマイナス44となった。
改善したのは大企業が19年12月以来3四半期ぶり、中堅企業は19年3月以来6四半期ぶり。6月の時点では新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、リーマンショック後の不景気に見舞われていた09年当時の低水準まで落ち込んでいたが、小幅ながら持ち直した。
ただ、中小企業は3ポイント悪化しマイナス41と、4四半期連続で前回調査を下回り、09年12月(マイナス41)以来10年9カ月ぶりの低い水準まで悪化。景況感の改善が業界全体に広がっているわけではないことを示唆した。
先行きの見方に関しては大企業がマイナス24、中堅企業がマイナス43、中小企業がマイナス39だった。中堅・中小企業の間ではなお悲観的な見方が根強い。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9537社に調査協力を要請、99・3%が回答した。
全産業ベースの業況判断DIは前回調査から5ポイント上がってマイナス21だった。このうち大企業製造業は7ポイント上昇のマイナス27で7四半期ぶりに改善。大企業非製造業も5ポイント上昇のマイナス12となるなど、景況感の悪化に歯止めが掛かっていることをうかがわせたが、改善の勢いはまだまだ弱い。
(藤原秀行)