安全管理を物流業界の経営戦略ツールとして深化
日立物流の佐藤清輝常務経営戦略本部長・協創PJ長は10月26日に開いた2018年9月中間期連結決算説明会の席上、理化学研究所および大阪市立大と連携して実証実験を進めている「スマート安全運行管理システム」(SSCV)について、2019年度にグループ企業も含めた全ての自社車両2400台へ搭載する予定であることを明らかにした。
去る9月から東京・上野で実証実験を行う事務所を開設、現在は同社グループのトラック100台でテスト運用を実施している。
同システムはIoT(モノのインターネット)技術を用いてトラックドライバーの生体情報、運転状況などをリアルタイムで管理するもの。車載センシング機器から危険運転・異常運転、眠気や疲労度合いなどを検知して運行管理者にクラウド経由で伝え、ドライバーのスマートフォンに注意喚起・警告を行うことができる。
運転中のさまざまなデータを収集してAI(人工知能)で解析。「疲労学として確立させ交通事故の発生を未然に防止するほか、ドライバーの労働負担軽減と環境改善、物流企業の安全・品質向上を図る」(佐藤常務)のが狙いだ。
実用化の先には新しい活用・展開を見据えている。佐藤常務は「交通事故低減による損害保険料率の引き下げ、機器調達やBPOにおけるコスト削減などSSCVは経営面にも貢献できるポテンシャルを秘めている。当社グループだけでなくパートナー企業、同業他社など物流業界全体がメリットを享受できるようなサービスとして育てていきたい」と語り、安全管理からさまざまな付加価値を生み出すソリューションツールとして期待を寄せる。
(鳥羽俊一)
質問に応じる佐藤常務