【独自取材】クラウド型在庫管理システムのロジクラ、不動在庫流動化支援を検討

【独自取材】クラウド型在庫管理システムのロジクラ、不動在庫流動化支援を検討

武末CSO、数年内のプラットフォーム本格運用開始目指す

クラウドベースの在庫管理システム「ロジクラ」を展開しているロジクラ(東京都新宿区西新宿)は、顧客の小売業などの在庫適正化支援を拡充する方針だ。システムを通じて効率的かつ正確に在庫を管理できるよう引き続きサポートするのに加え、今後は不動在庫の流動化を後押しして顧客企業のキャッシュフロー改善につなげていくことを視野に入れている。

他にも、ロジクラユーザーの要望に合致した倉庫スペースの紹介に注力しており、ニーズが高まっている冷凍・冷蔵倉庫も積極的にカバーしていく構えだ。同社の武末健二朗取締役CSO(最高戦略責任者)は「当社は『在庫データを活用し、企業の成長を支援する』ことに基軸を据えている。在庫管理に悩まれている小売業やメーカーはいまだ多いだけに、サービス内容を拡充し、顧客の課題解決に一層貢献していきたい」と強調している。


ロジクラのイメージ(以下、いずれもロジクラ提供・クリックで拡大)

企業間で在庫のやり取り可能なマーケットプレイス構築

ロジクラは2018年11月に正式版の提供をスタート。主に個人事業主から中小企業をターゲットに設定し、iPhoneを使ったバーコード検品やピッキングを可能にするほか、納品状や送り状の作成、バーコードラベルの発行などにも対応。在庫状況のデータ化も自動で行う。既に膨大な商品データを保有しているため、ユーザーが細かく商品を登録する手間が省ける。機能を限定した無料プランを設定、気軽に利用を始められるよう配慮していることなどもあり、導入事業者は既に1万を大きく超えている。

併せて、同じくクラウドベースで利用可能な店舗のPOS(販売時点情報管理)システム「スマレジ」を手掛けるスマレジ(大阪市中央区)とAPI連携を開始。ユーザーはECで受け付けた注文を店舗から配送できるようにして欠品を回避するなど、外部のサービスと積極的にタッグを組み、ロジクラユーザーの販売機会確保を図っている。


スマレジとの連携のイメージ

新たな展開として、さらに踏み込み、ロジクラを通じて蓄積した入出荷や販売に関するデータを基に、個々の商品の需要を分析・予測し、ユーザーがより少ない在庫で大きな収益を挙げられるようサポートすることを検討している。

併せて、不動在庫の流動化に向けては、ロジクラユーザーに対し、在庫の価値を評価した上でどの程度の価格に設定し、どういったチャネルで販売すべきかをアドバイスする外部の事業者を適宜紹介することなどを想定。在庫データを生かして企業間で商品を融通し合うマーケットプレイスを準備する構想を立てているほか、在庫を基に資金調達する動産担保融資を手掛ける企業との連携も念頭に置いている。

武末CSOは「他の事業者の方々の力もお借りして、在庫に関する諸問題を解決するためのプラットフォームを構築したい。ニーズはかなり大きいと感じている」と語り、数年以内にサービスの運用を本格的に始められるよう準備を着実に進める方針を示した。

(藤原秀行)

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