東京海上日動とNTTデータが実証実験で効果確認
東京海上日動火災保険とNTTデータは11月1日、輸出入の貨物を対象とする外航貨物海上保険に絡む保険金請求業務を最新技術のブロックチェーン(BC)で効率化する実証実験を完了したと発表した。
両社は効率化を進める上でBC技術が有効と確認できたと判断、2019年度中に一部実用化を目指す。
BCはあるネットワークに参加している複数のコンピューター間でデータを共有する技術。データ処理速度が飛躍的にアップし、多くの関係者間で情報を速やかに共有できる強みがある。特定のサーバーが情報を一元管理せず、ネットワークに参加しているコンピューター全てが取引の内容を相互に監視するため、データ内容を改ざんするのが極めて難しく、セキュリティーの面でも優れている。
東京海上日動とNTTデータは、海外で貨物事故が起きた際、担当する現地の保険代理店が事故の報告書や貿易関連書類、保険証券を集めたり、鑑定会社との間で情報をやり取りしたりする必要があるため、業務効率化の余地が大きいとみて、2017年11月からBC技術を保険金請求に生かそうと共同で実証実験を続けていた。
実験は米国やドイツ、中国、韓国など海外8拠点を対象に実施。実際に保険金の支払い業務で使ったデータをBC技術で速やかに共有できるかどうかを検証した。
両社は「貨物の損傷写真やサーベイレポート(鑑定結果の報告書)などの大容量データを、BC上で円滑に参加者が共有できることを確認した。適切なアクセス性能や業務効率性の観点からの検証も行った」と成果を説明している。
実験の結果、保険金支払い期間が従来の最大1カ月超から1週間程度まで短縮できたほか、関連書類の作成業務削減や鑑定作業迅速化などの効果もあったという。
(藤原秀行)