【独自取材】郵便物デジタルデータ化代行のN-Technologies、館内物流への対応視野

【独自取材】郵便物デジタルデータ化代行のN-Technologies、館内物流への対応視野

コロナ禍で法人の需要増、物流企業との連携も模索

届いた郵便物のデジタルデータ化を代行するクラウドサービス「atena(アテナ)」を展開しているスタートアップ企業のN-Technologies(東京都中央区八重洲)は、当初対象としていた個人に加え、法人の需要開拓に注力している。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が広がっており、郵便物の受け取りや処理のための出社を減らしたいとのニーズがあるのに対応したい考えだ。

法人の顧客開拓に向け、オフィスビルや商業施設の入居企業から商品の入出荷などの物流業務を一括で受託する館内物流の一環として、atenaを提供していくことを視野に入れている。さらに、物流企業からの問い合わせも寄せられているため、物流業界と連携していくことも想定している。

オフィス街の特定エリアでまとめて受託を構想

atenaは今年5月、個人向けをメーンにサービス提供を開始した。郵便物を顧客に代わってまとめて受け取り、中身をスキャンしてデータ化、クラウドベースで管理する。利用者は請求書など必要な郵便物だけ中身を確認できるようになり、郵便物の受け取りや開封、整理などの業務を全てアウトソースして本来の業務に集中することが可能になるのが大きなメリットだ。

郵便物の受け取りや管理のために出社する必要がなくなり、テレワーク促進につなげられると見込む。9月時点で数十社が利用しており、N-Technologiesとしては2020年中に500社の導入を目指している。


デジタルデータ化した郵便物のイメージ(N-Technologies・クリックで拡大)

法人の使い勝手を良くするため、9月にatenaの機能を拡充。社員それぞれにアカウントを付与し、いつだれが郵便物のデータにアクセスしたかを確認できるようにしたほか、内容データの閲覧権限を細かく設定して情報漏洩のリスク低減を図るなどの改良を施した。

取引記録や金融機関の口座への入金など機密情報を扱うケースが多いため、顧客から預かった郵便物はカードキーや監視カメラで24時間人の出入りを管理しているスペースで保管し、破棄する場合は溶解処理するなどセキュリティーに万全を期している。

今後は、館内物流の中でN-Technologiesが顧客宛てに届いた郵便物を一括して管理、要望に応じてスキャンし、データをデジタル化することを検討。オフィスビルや商業施設などの入居企業全体にサービスを提供することで、利用企業を着実に増やしていきたい考えだ。

また、オフィス街など特定のエリア内に存在している複数の企業に届けられた郵便物を同社がまとめて回収、一括してスキャンしてデータ化することも、可能性を探っている。

同社の白髭直樹代表取締役は「郵便物というアナログをデジタルデータ化することで、郵便管理にとどまらず企業の会計、財務の業務も効率化できる。企業の皆さまのDX(デジタルトランスフォーメーション)化を実現するための橋渡し的存在になりたい」と業容拡大に意欲を示している。

(藤原秀行)

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