「専用ブロックトレイン」や「定温貨物列車」新設、マルチ型物流施設は横浜や仙台などでも展開視野

「専用ブロックトレイン」や「定温貨物列車」新設、マルチ型物流施設は横浜や仙台などでも展開視野

JR貨物が「長期ビジョン2030」公表、期間中に4000億円超設備投資へ

JR貨物は1月8日、今後の経営方針「長期ビジョン2030」を公表した。

基本方針は「鉄道を基軸とした総合物流企業グループとして最適なソリューションを提供し社会価値向上に貢献」と明示。2030年に目指す姿として、自然災害続発を受けた貨物鉄道網の強靭化、物流施設やオフィスビル、商業施設など多角的な不動産開発の展開、貨物駅に保管や流通加工などの機能を付加したソリューション提供などを進める方向性を明らかにした。併せて、完全民営化を果たすとの従来目標を堅持した。

新たなサービスとして、列車1編成や一部貸切で輸送する「専用ブロックトレイン」、1編成全て定温コンテナを搭載する「定温貨物列車」を新設。eコマースの利用拡大など社会のニーズ変化に対応する姿勢を打ち出した。

また、マルチテナント型物流施設「レールゲート」や“駅ナカ・駅チカ倉庫”の開設を進め、貨物鉄道を軸とした物流効率化をさらに推進。レールゲートは既に完成したり計画を公表したりしている東京と札幌のほか、横浜や仙台、大阪といった拠点での展開を視野に入れている。

併せて、トラックへの積み替えが迅速に行える「積替ステーション」も引き続き設置し、鉄道用コンテナを固定する専用装置を備えた「緊締車」の制約を受けない輸送サービスを広める。トラックドライバーの負荷軽減にも貢献を目指す。

貨物駅に関しては、老朽化が進む箇所を中心に不要設備の撤去や建物の集約化、先進技術導入などを進める。「コンテナ仮受場」や「コンテナ立体倉庫」も設け、駅構内に出入りするトラックの荷待ち時間短縮を図る。

さらに、コンテナ自動倉庫、ターミナル集中管理センター、ドライバー向けの到着時間予想・構内自動誘導用アプリ提供などを組み合わせた「スマート貨物ターミナル」の実現も図る。

各施策を推進するため、21~30年には貨物鉄道インフラの維持・更新投資に約2250億円、ブロックトレイン・定温貨物列車の導入などの成長・戦略投資に約1770億円をそれぞれ充てる方針。

(藤原秀行)

「長期ビジョン2030年」の詳細はコチラから(JR貨物ウェブサイト)

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