米C&Wが20年下半期リポート、福岡や大阪内陸エリアは賃料大幅上昇
米不動産サービス大手のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は1月21日、2020年下半期(6~12月)の日本の物流施設市場に関するリポートを公表した。
新型コロナウイルスの感染拡大下でもeコマースの利用増で物流施設のニーズが拡大したと説明。C&W日本 ヘッド・オブ・リサーチ&コンサルティングの鈴木英晃氏は「実店舗とeコマースのバランスの最適化が今年も継続する見通し」と語り、消費者のオンライン購入シフトで21年も物流施設市場は活況が続くとの見方を強く示唆した。
リポートは、eコマースが拡大する中、福岡エリアは大型物流施設が少ないために賃料のトップが前年同期比18・8%上昇の3800円と大幅にアップしたことに言及。大阪内陸エリアも8%上昇の5400円になったと紹介した。
両エリアの今後については「継続した新規着工や開発用地取得の発表などで需給は今後も堅調に推移する見通し」と予想した。
関東エリアに関しては、空室が極めて少なく供給が需要に追い付いていない状況の中、トップ賃料は横ばいで推移したと指摘した。
物流施設市場の成長と関連性が高い宅配便の取扱個数は伸びる一方、再配達率は改善。「テレワークなどによる在宅時間の増加、宅配ボックスや置き配などの非対面での受け取り方法の拡大、また荷物追跡アプリの普及といった受け取り手の環境変化の影響などがある」とみており、21年も宅配増加が物流施設市場の追い風になるとの見解をにじませた。
鈴木氏は「路面店からの撤退が進むアパレルブランドもeコマースへの販路を拡大すべく取り組んでおり、物流・倉庫施設需要を押し上げている」と語った。
(藤原秀行)