【独自取材、動画】シリウスのAMR新機種やギークプラスのソーティングロボ登場

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大型展示会「ロボデックス」開催、物流業界向け新技術がお目見え

産業用ロボットの大型展示会「第5回ロボデックス」(主催・リードエグジビションジャパン)が1月20~22日、東京都江東区有明の東京ビッグサイト青海展示棟で開催された。

新型コロナウイルスの感染拡大で出展を見合わせる企業が相次いだが、約80社が参加し、3日間で約1万4800人が来場。現場業務の自動化・省人化への関心が高いことをうかがわせた。物流領域向けのロボットも複数お目見えした。


会場となった東京ビッグサイト青海展示棟(以下、いずれもクリックで拡大)

除菌と重量物運搬の兼務タイプも

中国の新興ロボットメーカー、シリウスロボティクスの日本法人シリウスジャパンは、ピッキング作業を支援するAMR(自律走行ロボット)「FlexComet(フレックスコメット)」を出展。さらに新機種の「FlexSwift(フレックススウィフト)」を初めて披露した。「『入社』即働けるロボット」のメッセージを全面に打ち出し、導入準備期間の短さなどを売り物にしている。

フレックスコメットは庫内でピッキング対象の商品を納めた棚に順次、自律移動。作業スタッフが追随し、指示のあった商品を取り出してコンテナに収めれば、正しくピッキングを完了できる仕組みだ。

小型プリンターをAMRに取り付け、ブルートゥースで接続すれば必要な数量をピッキングした後、プリンターからラベルを印刷しコンテナに貼り付けることも可能。関通が自社物流センターに導入しているほか、他のEC事業者などからも引き合いが増えているという。

フレックスコメットの利用が伸びているのに併せて、コンテナを置くトレーの向きを商品が入れやすい角度に調整できるなど細部を改良した新機種も投入した。同社は展示と並行して、ロボットを月額制で導入できる「RaaS(Robot as a Service)」の開始も発表している。


「FlexComet」


「FlexSwift」

同じく中国系のロボットメーカー、ギークプラスと協栄産業、三菱電機システムサービスは同一ブースで出展。ギークプラスの主力ロボット「EVE」シリーズに加え、昨年発売した自動ソーティングロボット「S20C」も登場した。

EVEは商品が入った棚を持ち上げ、入出荷作業エリアまで自動で運ぶため、庫内作業スタッフが歩き回らなくてもピッキングを済ませることができる。さらにソーティングロボットが仕分けした商品を載せて出荷エリアまで運ぶといった利用も可能。

協栄産業の担当者は「EVEとソーティングロボットを組み合わせて使うことで入出荷の一括した自動化につながる」と期待している。ブースではこのほか、ロボットメーカーのDoog(茨城県つくば市)が手掛けている追従型運搬ロボット「THOUZER(サウザー)」を使った業務効率化のソリューションや、三菱電機システムサービスの生産・稼働監視ソリューションなども展示した。


ソーティングロボット「S20C」

ユニークなところでは、ユアサ商事が現在、やはりDoogと開発を進めている、除菌作業と重量物の運搬を兼務できるロボット「ElepHunter(エレファンタ―)」を出展。現場に敷設した反射テープに沿って無人走行するタイプで、対象物をレーザーセンサーで確認、一定の距離を置いて追従することもできる。

除菌の際は専用の除菌装置を搭載し、除菌水を噴霧する予定。吹き出し口が横から見るとゾウの鼻に見えることから「エレファント」の名称を使っている。重量物を運ぶ際はけん引する仕組みで、最大300キログラムまで可能にすることを目指している。

除菌と荷物運搬の両方のニーズが見込める商業施設や空港などを想定しており、工場や物流施設内の搬送にも使える可能性がありそうだ。ユアサ商事の担当者は「今年の春ごろをめどに商用化できるよう取り組んでいる」と明かす。


「ElepHunter」

腕上げ作業の負担軽減アシストスーツ

住友商事マシネックスは、取り扱っている韓国のDoosan Robotics製協働ロボットアームを用いたリンクスのパレタイジングシステムを紹介。荷物を最大で1・65メートルまで積み上げられるという。

ロボット以外にも物流現場などの負荷軽減をうたう新商品が来場者の注目を集めていた。東京理科大発のベンチャー企業で重量物持ち上げといった現場作業時に装着して腰などへの負荷を軽減するアシストスーツ「マッスルスーツEvery(エブリィ)」を手掛けるイノフィスは、今春発売予定の腕上げ作業用アシストスーツ「マッスルスーツ腕」(仮称)を初公開。工場での組みつけ作業や果樹園での収穫など、腕を一定時間上げたまま行う必要がある作業で上腕や肩の負担を軽くするのが特徴。他にも前腕に掛かる負担をばねの反力で軽減するタイプも物流業界など向けに市場投入するという。

ユーピーアール(upr)は既存のアシストスーツの課題となっていた高価格と重さの負荷を減らした「サポートジャケット Ep+ROBO」を発表。現場作業員の要望を踏まえ、動力型アシストスーツとしては最軽量クラスの3・4キログラムを達成した。


イノフィスのブース


uprのブース

(藤原秀行)

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