災害対策情報支援を想定、データ収集・解析可能に
愛知県の中部大発で長距離飛行が可能な固定翼のドローン(無人飛行機)開発を目指しているスタートアップ企業のテラ・ラボは2月9日、福島県南相馬市の復興工業団地で長距離無人飛行機の新工場を建設すると発表した。
同8日にテラ・ラボと南相馬市が立地協定を締結した。新工場は延べ床面積が1320平方メートルで投資額は2億7700万円を計画しており、このうち3000万円は国の補助金を充てる。今年10月の完成、来春の本格的な稼働開始を見込む。
今後も予想される自然災害発生時に、長距離飛行が可能なドローンで災害対策情報支援ができるよう、自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金(製造・サービス業等立地支援事業)を活用して、製造・整備工場とデータ解析試験研究施設を新設。長距離無人航空機の機体を増産するとともに、災害対策上の課題となっている迅速で正確な災害情報の解析データの収集・共有に関する研究を強化、2022年4月ごろの実用化・事業化を目指す。
新工場の施設は、多種多様なドローンを揃えた「格納庫(製造工場)」、ドローンの飛行制御を担う「管制室」、各関係機関と連携を図り重要な意思決定を行う「危機対策室」の3種類の機能を備える。今後は自治体の要請や緊急事態速報発令と同時に、素早く対応できるシステム運用を構築する。
管制室はドローンの管制機能に加えてデータ解析機能も持たせ、ドローンが捉えたリアルタイム映像をいち早く3次元モデルとして再現することが可能。地形の特徴などをより明確にデータを収集・解析するほか、蓄積された土砂の量や雨量など細部まで把握し、今後起こり得る二次災害の危険性についても予測することができる。
ドローン活用で関係者が情報を確実に共有すれば災害現場に関わる人員のリスクが減るほか、大規模災害発生時の各組織の初動や意思決定にも役立つ上、住民の命を守ることにもつなげられると見込む。
工場の外観イメージ(以下、いずれもテラ・ラボ提供)
格納庫と機体のイメージ
固定翼型長距離無人飛行機のイメージ
協定締結式の様子
(藤原秀行)