【独自取材】倉庫・工場向け自動搬送ロボット開発のLexxPluss、住友商事など国内外3社から資金調達

【独自取材】倉庫・工場向け自動搬送ロボット開発のLexxPluss、住友商事など国内外3社から資金調達

資金は開発費などに充当、今秋ごろに製品を一般販売へ

物流倉庫や工場向けの自動搬送ロボット開発を手掛けるスタートアップ企業のLexxPluss(レックスプラス、川崎市)はこのほど、独立系ベンチャーキャピタル(VC)のインキュベイトファンド、革新的な技術で世界に大きな影響を及ぼすような社会課題解決を図るディープテック系VCとしては世界最大規模の米SOSV Investments、住友商事の国内外3社向けに第三者割当増資を実施、資金調達を完了した。

LexxPlussは2021年秋ごろに製品を一般販売する予定。調達した資金は開発費や人材採用などに充当する。具体額は開示していないが、関係筋によれば1億円程度のもようだ。


開発中の試作機(以下、いずれもLexxPluss提供)

「ハイブリッド制御技術」が特徴、海外市場進出も視野

LexxPlussは20年3月設立。ドイツのボッシュで物流向け無人トラックの開発などに携わった経験を持つ阿蘓将也氏らが創業、代表取締役を務めている。これまでに倉庫や工場への自動搬送ロボット導入のための事前分析サービスなどを展開。併せて、自動搬送ロボットの開発にも取り組んでいる。

同社が開発中の自動搬送ロボットは縦、横ともに60センチメートルに抑えながら、積載は300キログラムまで、けん引は500キログラムまで可能にする予定。台車やパレット、かご台車など30種類以上の搬送機器に対応する計画で、現在は複数の大手事業者と本格導入に向けた実証実験を続けている。

床に敷いた誘導テープに沿って軌道走行するAGV(無人搬送ロボット)と、レーダーなど自動運転技術を用いて自律走行するAMR(協働型ロボット)の機能を兼ね備えた「ハイブリット制御技術」を実装。狭い通路を動く必要がある場合などは軌道走行機能、屋内のスタッフやマテハン機器などを避けて動くことが求められる場合は自律走行機能を使えるようにし、それぞれの倉庫や工場で異なる環境に幅広く対応できるのが特徴という。

併せて、目的地や走行経路の設定を容易にし、通常は1週間程度要する導入の期間を半日に短縮、走行経路編集は5分で変更できるようにする。必要な台数だけ月額の定額料金でレンタルできる「RaaS(Robot as a Service)」形態でのサービス提供も準備している。まずロボットを製造原価に近い150万~300万円程度で販売し、1台当たり月額利用料金として5万~10万円程度を受け取ることを検討している。

LexxPlussはSOSVと住友商事、SCSKが共同で運営しているハードウエア領域に特化したアクセラレータープログラム(スタートアップ企業などにアセットや資金を提供、新たな事業の創造を目指す活動)「HAX Tokyo」に採択されている。3社がグローバル規模で構築している事業ネットワークを生かし、ロボットの量産に向けた体制準備や海外市場への進出も視野に入れていく構えだ。


ロボットの使用イメージ

(藤原秀行)

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