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【独自取材】ネットスーパー立ち上げ支援の10X、商品配送ドライバーへのサポートを拡充

【独自取材】ネットスーパー立ち上げ支援の10X、商品配送ドライバーへのサポートを拡充

スマホアプリで効率的な配送経路を提案、個々の届け先に関する情報を共有可能な“ナレッジ辞書”機能も提供

インターネットスーパーの立ち上げ支援を手掛けるスタートアップ企業の10X(テンエックス、東京都中央区東日本橋)は、商品配送など物流面のサポート拡充を図る方針だ。

目当ての商品を容易に見つけられる使い勝手の良いネットスーパーアプリを開発するのに加え、商品配送を担うドライバー向けに効率的な配送経路を自動作成したり、配送先に関する個々の情報を共有したりできる機能を備えたアプリも提供する準備を進めている。

10Xの矢本真丈CEO(最高経営責任者)は「ネットスーパー開設支援を進める上で物流はこれからも間違いなく、大きな価値になるとみている」と強調。在庫管理などの面でもサポートを広げていく考えだ。


矢本CEO(10X提供)

店舗での商品ピック効率化も後押し

10Xは2020年5月、ネットスーパーの支援サービス「Stailer(ステイラー)」の提供を開始した。小売・流通事業者が新たにシステムを開発しなくてもすぐにネットスーパーを立ち上げられるよう、消費者が手軽に使える購入用アプリをはじめ、顧客管理や在庫の把握、実店舗のスタッフへのピッキングする商品のリスト提示、決済など多岐にわたる業務を一括して提供している。

実店舗を展開していて新たにECへ参入したい事業者と、既存のネットスーパーシステムを刷新したい事業者の両方に対応できるのを強みとしている。20年6月にはイトーヨーカ堂がステイラーを活用して新たにネットスーパーアプリの運用を始めたほか、同12月には広島の老舗スーパー、フレスタにもアプリの提供をスタート。今年3月には食品スーパーのライフコーポレーションも10Xの技術を用いてネットスーパーのアプリを刷新、事業拡大を図る方針を発表した。


ライフコーポレーションのモバイル端末向けアプリの画面イメージ(同社プレスリリースより引用)

これまでは既にネットスーパーの独自物流網を構築している企業が中心だったため、物流向けの機能はまだ本格的に提供していない。矢本CEOは「日本の小売業の中でネットスーパーを展開できているのはまだ4%にすぎない。残りの96%の事業者をサポートしていくことが当社の使命であり、その市場規模は非常に大きい」と指摘。ネットスーパー立ち上げ支援の一環で物流機能を提供することに強い意欲を示している。

ネットスーパーを手掛ける小売事業者のスタッフ向けに、店舗にある商品在庫の最新情報を正確に把握できるようにしたり、店舗の商品の中から注文があったものを選ぶ際に間違いがないよう写真入りで表示したりするアプリを準備している。


ライフコーポレーションのネットスーパー運営イメージ(同社プレスリリースより引用)

3月には東北を地盤とするドラックストアの薬王堂が10Xのステイラーを活用し、商品をスマホアプリで注文する際、店舗駐車場で車に乗ったまま受け取る「ドライブスルー受け取り」を選択可能なサービスを開始した。薬王堂のスタッフ向けアプリを初めて提供、スタッフが普段使いなれているスマートフォンにアプリを取り入れ、注文を受けた商品を店舗でそろえ、来店した顧客に商品を受け渡し、在庫・商品情報の管理といった一連のオペレーションを迅速に行えるようになると見込む。

配送領域のサポートとしては、アプリで注文が入った複数の配送先の住所を踏まえ、効率良く回ることができるルートを自動作成して提示する。利用するドライバーが自分の経験を基に、提示のルートを自由に編集することも可能だ。矢本CEOは「配送現場ではいまだに注文リストを基に紙ベースで配送の順番を決めていくアナログな作業が残っている。その部分を効率化できるよう後押ししていきたい。自動作成したルートが絶対というわけではなく、個々のドライバーの皆さんが経験値を生かして修正できる余地も残している」と狙いを語る。

また、配送先に関する情報を各ドライバーがアプリに書き込み、共有できる「ナレッジ辞書」の機能も持たせる。例えば、「この配送先は防災センターで受け付けする必要がある」「この配送先の駐車場所はここにある」といったような情報を蓄積。スマホで表示することで、駐車に関するトラブルを回避したり、業務をより短時間で済ませられるようになったりすると見込む。これまで口頭で済ませていたやり取りをテキストで確認できるようにし、より確実にドライバー間で情報を有効活用できる環境を整えようとしている。

他にも、ネットスーパーの注文を受けた商品を店舗で集める際、最も精度が高く作業も早く終えられるピック方法をそれぞれの現場ごとに提案できるようにするなど、バックヤードの業務を支えることにもさらに注力していく方向だ。矢本CEOは「温度帯ごとに商品をいかに適切に保管し、配送していくかといった物流関係のポイントはネットスーパーを黒字化する上で重要な分水嶺になっている」と持論を展開。年内には配送事業者をサポートするアプリの提供も含めたネットスーパー支援を実現したい考えだ。

(藤原秀行)

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