工業地は物流施設の需要増で引き続きプラスも伸び幅は縮小
国土交通省が3月23日発表した2021年1月1日時点の公示地価は、住宅、商業、工業の全用途平均(1平方メートル当たり)は全国で前年実績から0・5%下落し、15 年以来、6年ぶりにマイナスを記録した。
新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店や小売店の経営が不振に陥るなど、経済が打撃を受けたことが響き、住宅地は5年ぶり、商業地も7年ぶりに下落へ転じた。3大都市圏に加え、地方都市でも地価の回復傾向が見られていたが、コロナ禍が冷や水を浴びせた格好だ。
物流施設などの工業地は全国平均(調査地点1050カ所)で0・8%上がり、7年連続でプラスとなった。eコマースの成長に伴う先進的な物流施設の需要増などが下支えしたものの、上昇幅自体は20年の1・8%から縮小した。
工業地の平均変動率を圏域別に見ると、東京圏(228カ所)は2・0%と8年連続の上昇を達成。大阪圏(184カ所)も0・6%で6年連続上がったが、ともに20年の上昇率からは縮小した。名古屋圏(99カ所)は0・6%下がり、15年以来、6年ぶりのマイナスとなった。
地方圏は、主要4市(札幌、仙台、広島、福岡の41カ所)が4・4%で8年連続上昇、それ以外の地方都市(498カ所)も0・2%で3年連続の上昇となったが、やはり上昇幅は縮小した。
(藤原秀行)
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