同業他社含めトラブルなどの実態を共有、ボトルネック解消図る
中小のEC事業者らの物流を包括的に支援しているオープンロジは、提携している倉庫会社の庫内作業生産性向上や安全確保を後押ししている。
新たな取り組みとして、作業時の事故発生件数などのデータを各倉庫会社から集めて分析、動向をまとめた上でどの倉庫の数字なのかは特定できないよう加工、リアルタイムで共有するとともに、定期的に作業品質の管理リポートとして提供している。
倉庫会社にとっては、同業他社と比較して自らの作業の生産性や安全性がどの程度の水準にあるかを把握できるため、どの作業過程がボトルネックになっているかをつかみやすいといったメリットが期待できる。
オープンロジとしても顧客のEC事業者向けに提供している物流サービスの品質向上につながるため、引き続き倉庫ネットワークをさらに拡大していく上でこうしたメリットを積極的にアピールしていきたい考えだ。
荷主との交渉や与信管理も代行
オープンロジは昨年12月、倉庫会社を対象とした「倉庫メンバーシップ・プログラム」を開始したと発表。登録は無料で、会員となった企業にはEC商品を新たに扱う場合のノウハウを提供したり、先進的な取り組みをしている他の倉庫の作業を見学できるよう調整したりしている。
成長が続いているEC領域の物流への参入を希望しているものの、荷主企業への営業方法や最適なオペレーションが分からないため二の足を踏んでいる倉庫会社を支援する狙いがある。
労働力確保の点でも専用アプリを活用した単発バイトのマッチングサービスを展開しているタイミーの利用を紹介。タイミーは当日にシフトの欠員が出るなど急いで働き手を探す必要がある場合に対応できるのが大きな利点だ。荷物の波動が大きい物流業界の利用が急速に伸びている。
オープンロジからの紹介を受けてタイミーを利用したパートナー倉庫からも「募集を出すと土曜日や翌日の人員募集でもすぐに埋まる」「求職者と1回知り合えば、その後は直接雇用が可能になる」などと評価する声が挙がっているという。
同プログラムはさらに、業務提携契約を結んだ「パートナー倉庫」に対しては、新規のEC物流受注案件を紹介したり、荷主企業との交渉を代行したり、顧客企業の与信管理を担ったりするなど、さらに踏み込んだ支援を展開。各倉庫会社の作業時に発生したトラブルの件数や作業効率の度合いなどを集計、オープンロジのシステムを介してパートナー倉庫間で情報を共有できる体制を確立している。
同社VP of Business developmentの相澤景介氏は「EC物流を早く収益化できるようにするのが重要なので、プログラムを積極的に拡大していきたい。参加される倉庫会社が増えれば、現場のノウハウも蓄積されるし生産性向上に役立てられるデータも積み上がっていくため、継続的に改善を後押しできるようになる」と狙いを語る。
他にも、業務効率化で優れた結果を出している別のパートナー倉庫の取り組みを随時共有、自社の現場に活用していくことを促しているという。パートナー企業は今後5年で500社まで増やしていくことを目指している。
(藤原秀行)