第1弾は千葉・浦安で10月末竣工予定、需要旺盛で1棟借り依頼も
総合不動産事業に参入したアライプロバンスは4月28日、千葉県浦安市の浦安鉄鋼団地内で手掛けている自社開発第1号案件のマルチテナント型物流施設「浦安市港物流センター(仮称)」の上棟式を行った。
同社の新井嘉喜雄社長と新井太郎専務は現地で取材に応じ、今年10月末の竣工に向け、順調に工事が進んでいることを強調。「旺盛な引き合いをいただいており、1棟借りの依頼も来ている」と説明した。稼働は11月開始の見込み。
また、東京都江戸川区東葛西で開発計画を進めている第2号案件は、総延べ床面積が約12万平方メートルの物流施設2棟の建設を軸に調整しているとあらためて説明。第1号案件で得られた知見を積極的に反映させていく姿勢を示した。
※新井社長(左)と新井専務
千葉・浦安の上棟式の様子(アライプロバンス提供、西松建設撮影)
アライプロバンスは1903年創業の金属加工業「新井鉄工所」が前身。油井管の継ぎ手(カップリング)を得意としてきたが、経営環境の変化などを踏まえ16年に工場の稼働を終了。20年に現社名へ変更し、保有している不動産を基にした総合不動産業への転換を進めている。
浦安の物流施設は新井鉄工所時代の旧工場跡地に建設しており、地上4階建ての鉄骨造で延べ床面積は3万4567平方メートルを計画。首都高速道路湾岸線の浦安ICから約3キロメートルに位置し、同社は首都圏をはじめ広域をカバーする物流拠点として活用可能と説明。JR京葉線の新浦安駅から約3キロメートルで労働力確保の面でも強みがあるとみている。
施設前の道路は幅約22メートルを備えており、大型トレーラーも出入りできる。最大4社が入居可能な設計を採用。施設開発地前のバス停留所を「アライプロバンス」に改称してもらうなど、働きやすさの確保にも腐心している。
新井専務は、施設の外構デザインを、ルイ・ヴィトンのポップアップショップなどの設計を手掛け、国内外でさまざまな賞を獲得している著名な建築家の菅原大輔氏に依頼したと説明。敷地内に「道の庭」「四季の庭」「海の庭」を整備し、施設で働く人がリラックスできる環境を実現する考えで、グッドデザイン賞受賞を目指すという。
「浦安市港物流センター(仮称)」の完成イメージ(アライプロバンス提供)
一方、東京・東葛西の案件はやはり新井鉄工所時代の旧工場跡地を活用。南北に長い形状を生かし、南北に2棟を開発することを検討している。南側の1期棟は22年春ごろの着工を視野に入れている。
首都高速道路湾岸線の葛西入口から約2キロメートルに位置し、環状7号線にも近接。大型商業施設も周辺に存在し、従業員にとって利便性が高い立地となっている。
物流施設を建設する場合は、1号案件より規模が格段に大きくなるため、コンビニやカフェテリア、託児所の開設を検討しているほか、テナント企業の自動化・省人化や冷凍・冷蔵設備使用のニーズにも対応できるよう特別高圧電力での供給を準備する構えだ。用地の有効活用を徹底するため、着工するまでの間は建設資材置き場など「一時使用賃貸借」の利用を募集している。
(藤原秀行)