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【独自取材】OKI、30年までに「サプライチェーン構築の完全自動化」目指す

【独自取材】OKI、30年までに「サプライチェーン構築の完全自動化」目指す

物流分野のイノベーションに注力、来春めどにAI駆使した配送ルート最適化提供開始へ

OKI(沖電気工業)は、今年1月に公表した2030年までの「イノベーション戦略」の中で、物流分野が抱える課題の解決支援に注力する方針を打ち出した。中長期の目標として「サプライチェーン構築の完全自動化」を掲げており、具体策として作業を自動化した無人倉庫、AIを活用した業者間の混載・共同配送の自動調整などを実現していくことを念頭に置いている。

OKIはその一環として、来春ごろをめどに自社で開発したAIを駆使し、独自のアルゴリズムで配送ルートを最適化するサービスを実用化したい考えだ。トラックドライバー不足などの課題解決に貢献できると見込む。

物流情報を簡易に共有可能に

OKIは2018年、全社を挙げて顧客にイノベーションを積極的に提案し社会課題解決を図るプロジェクト「Yume Pro(夢プロ)」を本格的に始動させた。その具体的な方向性を示したイノベーション戦略は注力する対象として物流や製造、金融・流通、ヘルスケア、防災など9分野を設定している。それぞれ30年までに目指す姿を挙げており、例えば製造は「スマート工場」、金融・流通は「安全で便利な決済/サービス」といった具合だ。

物流はイノベーションを推進する工程として、まず「事務作業効率化による増益」、その次に「効率的なサプライチェーン構築」、30年までに「AI間連携サービス」をそれぞれ設定している。


イノベーション戦略で物流分野の取り組み内容(以下、いずれもOKI資料より引用)


「サプライチェーン構築の完全自動化」の取り組み例

AIを組み込んだシステム同士が連携し、急激な需給変化にも柔軟に対応できるようにすることを想定。そのベースとなる方針が、製品の入出荷や配送、在庫管理など物流領域の膨大な情報を荷主企業や物流事業者が簡易に共有できるようにする「LogiConnect(ロジコネクト)」だ。AIを駆使した配送ルート最適化についても、その延長線上に位置していると言える。

最適化に関しては物流企業のロンコ・ジャパン(大阪市東成区)の協力を得て、今年2月に小売店舗向けの配送現場で実証実験を行った。OKI独自のアルゴリズムで約50店舗を対象に配送計画の最適解を算出、実際の配送に反映させたところ、車両13台の配送総走行距離を、人手で配送計画を策定した場合より1日当たり約300キロメートル削減することができたという。

OKIのアルゴリズムは1拠点に1台で一括配送するケースから、複数車両で荷物を分割して配送するケースまで多様な配送パターンの条件を自動で分析しながら、走行距離・コストが最小となる最適解を算出できることが特徴。実証実験では配送する荷物が多い場合、1台にまとめるのか、複数台に分けて積み込むのか自動で選択。その内容に則って実際に配送を行った。配送の過程ではロンコ・ジャパンの担当者が自らの経験を基に、配送計画が現実離れした内容になっていないかどうかをチェックした。

今回の実証実験では配送ルート計算の際、渋滞の発生など周辺道路の交通状況に関するデータについては反映していない。荷姿についてもある程度同一のものを対象に実施しており、実用化に向けては形状が異なるものをどう積み分けるのかについても、さらに検討が必要になる。

OKIイノベーション推進部イノベーション推進センターの川口勝也課長代理は「今回の実験の成果と課題を踏まえ、アルゴリズムの改良を検討し、何度かさらに実験を重ねた上で1年先には商用サービスとして提供にこぎ着けたい。多様な方々にお使いいただき、サービスを軌道に乗せたい」と意気込んでいる。

また、「LogiConnect」の考え方に基づき、OKIの配送ルート最適化サービスと顧客のTMS(輸配送管理システム)を連動させ、最適化の精度を高めていくことなども想定している。川口氏は「輸配送の領域では、荷物とトラックのマッチングを行う際、荷主企業と運送事業者がそれぞれ持っているAI同士で自動的に交渉するといった姿も理想として描いている」と明かしている。

(藤原秀行)

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