25年近く、「利率の良い特別な貯金」などとうその話持ち掛け
日本郵便とゆうちょ銀行は6月2日、長崎市の「長崎住吉郵便局」に勤めていた元局長の60代男性が知人らから長年にわたって現金を詐取していた問題に関し、詐取額が知人ら62人からトータルで約12億4000万円に上るとの社内調査結果を公表した。
両社によると、元局長は詐取額のうち約2億7000万円を返金しており、実質的な被害額は約9億7000万円に上るという。両社は実質的な被害額を補償するとともに、元局長の刑事告発を検討している。
両社によれば、元局長は1996年11月から今年1月までの25年近くにわたり、「利率の良い特別な貯金がある」などとうその話を持ち掛け、知人や親族、顧客から現金を集めていた。旧郵政省時代に廃止になった金融商品の証書などを渡し、信用させていた。元局長は2019年3月に退職した後も詐取を続けていた。同郵便局は元局長の父親から息子まで3代にわたって局長を務めたという。
昨年12月に顧客から郵便局に「元局長から高利率の貯金の勧誘を受けたが断った」との連絡があり、日本郵便が社内調査に着手。その後、今年1月に詐取の被害者からゆうちょ銀行長崎店に「元局長に貯金の解約を申し入れたが、応じてもらえない」と相談が寄せられ、詐取が発覚した。
元局長は詐取した現金をゴルフや飲食などの遊興費、不動産や車の購入、顧客らへの元利金支払いに充てたと話しているという。 日本郵便は詐取の被害者へ謝罪するとともに、再発防止策として郵便局外で顧客から現金を預かることを原則禁じるほか、局長を定期的に別の郵便局で勤務させる仕組みを導入する方針。
(藤原秀行)