日本郵便、警視庁が「犯罪事実特定できず」と見解表明受け
日本郵便は6月8日、東京都千代田区神田淡路町の「神田郵便局」の元課長代理が郵便切手を横領した疑いがある問題について、刑事告訴を断念すると発表した。
警視庁に関係書類を提出したが、警視庁が「犯罪事実を特定できないため告訴を受理できない」との見解を示したため。
日本郵便によると、今回の問題は2018年3月より前の時期に、60代男性の元課長代理(19年1月懲戒解雇)が、同郵便局が顧客から料金別納の相当額として受け取っていた郵便切手を、正規の手続きを経ずに無断で局外に持ち出し、金券ショップで換金していた疑いがあるという。
18年3月、国税局から本件の疑いに関する情報提供があったため、日本郵便の社内調査を実施したところ、元課長代理が横領の事実を否認。同社で裏付けとなる客観的な証拠の収集に努めたが、換金取引に関する証拠収集が困難だったことなどから事実関係の特定には至らなかった。
日本郵便は元課長補佐を懲戒解雇にしたほか、郵便局の管理者ら関係者13人に対し、停職2人、減給6人などの社内処分を実施した。元課長補佐は正規の手続きを行わず郵便切手を取り扱ったことに関する不明金の補てんとして、任意で約6億7千万円を弁済しているという。
同社は神田郵便局以外にも同様の事案があったのを踏まえ、管理責任を問い、日本郵便の常務執行役員(17年度の東京支社長)とゆうちょ銀行の常務執行役 (17年度の近畿支社長)をともに30%、2カ月の減給にするなどの処分を行った。
(藤原秀行)