【独自取材】東京湾上空の「ドローン物流ハイウェイ」、23年中の運営開始目指す

【独自取材】東京湾上空の「ドローン物流ハイウェイ」、23年中の運営開始目指す

先端ロボティクス財団・野波理事長が説明、経験積み災害救援物資に応用も

ドローンの競技会運営などを手掛ける一般財団法人先端ロボティクス財団の野波健蔵理事長(千葉大名誉教授)は6月21日、ドローンが横浜市から千葉市まで東京湾上空約50キロメートルを縦断飛行して物を運ぶ実証実験を両市などと連携して実施、メディアに公開したのに併せて、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。

野波氏は、今後も実験を重ねた上で2023年中をめどに、東京湾上空をドローンが定期的に飛行して物を輸送するドローン物流の専用空路(ドローン物流ハイウェイ)の運営を始めたいとの考えを表明。物流事業者にも協力を呼び掛けていく姿勢を示した。

また、ドローン物流ハイウェイは災害時の救援物資輸送にも応用できるとの考えを述べるとともに、自動化などで収益を挙げられるビジネスモデルを確立することを目指す意向を強調した。


実証実験の詳細をメディアに説明する野波氏

歯科技工物や医薬品など高付加価値の物を輸送

野波氏はドローン物流ハイウェイに関し、今回の実証実験で選んだ横浜、千葉両市のほか、東京都や川崎市など他のエリアも結ぶ可能性を指摘。利用する機体は長い滑走路を使わずに離発着することが可能で翼の大きさを変えられる可変翼eVOTL(電動垂直離着陸機)を採用することを想定していると明らかにした。

野波氏は「単位重量当たりで価値の高い物を運びたい。貴重なものをドローンで早く届けるミッションを果たしたい」と説明。都市部上空を飛ぶことでサービスの単価を上げ、収益を確保できるようにしたいとの考えを示した。今回の実験で取り扱った歯科技工物については「歯医者さんから実際にドローンで運んでほしいという依頼があった。ニーズは確実にある」と説明した。

また、「日ごろ物流で飛ばしておいて、災害が起きたら(被災地に)向かわせる。いつもドローンを運行して(経験を積んで)おかないと、いきなり災害用に使うのは難しい」との見解を示し、平時にドローン飛行実績を積み重ねておきたいと意欲を見せた。

さらに、東京湾上空のドローン物流に加えて、政府が22年度をめどにドローンが人口の多い都市部上空を目視者なしで飛ばせるようにする「レベル4」を解禁する方向で準備を進めているのをにらみ、千葉市内上空でのドローン物流も早期に実現したいと意欲をにじませた。


実験で横浜市金沢区幸浦のESR物流施設開発予定地を離陸するドローン(以下、いずれも千葉市提供)


千葉市内の稲毛海浜公園に着陸するドローン

(藤原秀行)

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