歯科技工物を運搬、23年のビジネス開始目指す
ドローンの競技会運営などを手掛ける一般財団法人先端ロボティクス財団は6月21日、横浜市や千葉市などと連携し、ドローンが横浜市から千葉市まで東京湾上空約50キロメートルを縦断飛行して物を運ぶ実証実験をメディアに公開した。
国土交通省の事業の一環として実施。ドローン物流の実験は全長約2・3メートル、全幅約2・8メートルの固定翼ドローン「カイトプレーン」を使用した。
この日の午前9時前に、東京湾に面した横浜市金沢区幸浦のESR物流施設開発予定地を離陸、「海ほたる」などの上空を飛び、千葉市の稲毛海浜公園まで約100グラムの歯科技工物を搭載して飛行、午前10時すぎに無事同公園駐車場内の予定エリアへ着陸した。向かい風のため、飛行にはトータルで予定より約25分長い約1時間25分を要した。歯科技工物にも特段問題はなく、安全に運搬を完了した。
カイトプレーンは離発着のみ人が操縦し、それ以外は上空100メートルを自動飛行した。最高速度は時速60キロメートルを想定している。
同財団は都市部でのドローン物流実現を目指し、実験でデータ収集を図る。将来は東京湾上の超低空域にドローン専用の空路「ドローン物流ハイウェイ」を構築したい考えだ。
実験に投入した固定翼ドローン
飛行したルート(同財団プレスリリースより引用)
運搬した歯科技工物
同財団の野波健蔵理事長(千葉大名誉教授)は実験完了後、メディアの取材に応じ、今秋にも予定している次回の実験ではドローンがAIなどを活用して2メートル四方の着陸設備へ自動的に着陸した後、ZMPの自動搬送ロボットで公道を走って商品を届ける流れを目指していることを明らかにした。
野波氏は、政府が2022年度をめどに都市部上空で操縦者の目が届かない遠距離までドローンが自律飛行する「レベル4」を解禁する方向で準備を進めているのを踏まえ「23年には(東京湾上空を飛ぶ)ドローン物流のビジネスを開始したい」と目標を語った。
取材に応じる野波理事長
(藤原秀行)