内閣官房と国土交通省が目安となるガイドラインを改定、公表
内閣官房と国土交通省は6月25日、ドローンを活用した荷物などの配送を行う際の目安となるガイドラインを改定、公表した。
人が少ない離島や中山間地などの上空でドローンが補助者を置かず、操縦者らの目が届かない目視外まで飛行する「レベル3」の実施を前提とし、ドローン飛行の安全性確保など、ドローン物流を実施する上での課題への対応の方向性を盛り込んでいる。国交省の官民検討会で議論を進めていた。
ガイドラインは今年3月、法令面での対応に重点を置いたバージョンを作成済み。今回はドローン物流を手掛ける事業者が採算性をどのように確保するかなど、実際にドローン物流が社会で普及していくための施策を追加している。
ガイドラインはドローン物流導入に際し、事業者がまず過疎化や地域医療の担い手減少など、地域の抱える課題を整理した上で、ドローンを使うのが有効かどうかを確認するようアドバイス。実際にドローン物流を使う側の視点に立ち、いつ、どこへ何を運ぶかといった活用方法の具体化を図るよう提言している。
事業推進に当たっては、サービス利用者の明確化、地元の自治体や住民との協力関係確保などに努めるよう提示。関係者間の合意形成などを担う「プロジェクトマネージャー」を選定することが望ましいと訴えている。
サービス開始の前段として、利用場面に適した機体を選ぶことなどを盛り込むとともに、収支改善のため技術を活用した省人化や多頻度運航による採算アップなどを検討するよう明記。損害保険への加入なども求めている。
省人化による人件費削減の事例として、大分県津久見市での実証事業を紹介。ドローンが離着陸する設備「ドローンポート」に取り付けたカメラによる周辺監視、往復飛行できる機体性能の強化を通じ、運航管理者ほか1人だけで飛行できる体制を実現したという。
ガイドラインは「民間事業者などによる自立的な事業運営は道半ばであり、持続可能な事業形態の整理については、今後のドローン物流事業の事例の蓄積などを踏まえ、引き続き検討していく」と表明している。
(藤原秀行)