物流の社会的意義アピールに意欲、標準化も積極的に促進

物流の社会的意義アピールに意欲、標準化も積極的に促進

物流連・池田新会長が就任会見で表明

日本物流団体連合会(物流連)の池田潤一郎新会長(商船三井会長)は6月29日、東京都内で開催した物流連定時総会後に記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に物流の存在が注目されているのを踏まえ、引き続き物流の持つ社会的意義を国民に広くアピールしていくことに強い意欲を見せた。

また、政府が6月に閣議決定した総合物流施策大綱で、物流現場の機器や設備、業務手順などの標準化を推進する方針を打ち出していることに関連し、物流連としても標準化をより積極的に促進する姿勢を示した。


会見する池田新会長

若者への広報「一番強く訴えるべき」

池田氏は6月29日付で、渡邉健二氏(日本通運会長)の後任として新会長に就いた。渡邉氏は物流連副会長に就任した。

池田会長は「物流連は今年が30周年。そうした節目の年に(会長に選出されたのは)大変名誉なことと感じている」とあいさつ。重点的に取り組むべき項目として、若い世代への物流の持つ魅力のアピール、デジタル化・標準化、地球温暖化対策としての「グリーン物流」への対応などを列挙した。

その上で「コロナで物流の重要性が世間の人々に強く認識されつつあるが、そういうことがないと物流がインフラとして重要だということを分かっていただけないのは、業界に身を置く者としては大変残念」と胸中を明かし、普段から広報活動を展開していく必要性を指摘した。

また、深刻な労働力不足に関連し「若者がなかなか(物流の)成り手にならない現実もある。物流連の活動が一番強くアピールしなければいけないところだと思う」と説明。「物流とは何かという部分を分かりやすく伝えて皆様方の理解を深め、物流は面白そうでやりがいがあると考えてもらえる人を1人でも増やすことに力を入れていけばいいんじゃないか」と持論を展開した。

標準化については、物流連内に新設した「物流標準化調査小委員会」を軸に、政府や関係者と連携してパレットなど広い分野で標準化の議論を着実に進めていく方向性を示した。

コロナ禍の影響で世界的に海上輸送用コンテナが不足していることに対しては「いろんな原因でサプライチェーンに混乱を与えているのはよく認識しており、外航海運業界に身を置くものとして、大変申し訳ないという気持ちがある」と説明。コロナ禍で打撃を受けた経済の回復に伴いコンテナの需要が急増していることやコロナ感染で船員交代が困難になっていることなど、複数の要因が存在することに言及し「コロナ禍がなかなか完全に終息しない中で、いろんな問題についてはまだまだ100%の解決は難しい。今しばらくはそういう要素が残ってしまうのではないか」との見方を示した。

同時に「関係者が連携をさらに深めていけば、お客様にこれ以上のご迷惑、混乱を与えることはない」と展望。早期のコンテナ不足解消に引き続き努めていく方針を明確に示した。

(藤原秀行)

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