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【独自取材、動画】GROUND、30坪のR&Dセンターから「物流革新」目指す

【独自取材、動画】GROUND、30坪のR&Dセンターから「物流革新」目指す

自律移動式ピッキングロボット開発、2019年度中の製品化視野に

※先に配信した記事中、タイトルと本文中の「100坪」を「30坪」に訂正いたしました。深くおわび申し上げます。

 物流現場向けロボットの開発などを手掛けるベンチャーのGROUND(東京)は今年8月、千葉県市川市にR&D(研究開発)センター「playGROUND(プレイグラウンド)」を開設した。現在は物流センターでピッキングの負荷を大幅に低減できる自律移動ロボット(AMR)の実用化を目指し、日々研究に打ち込んでいる。

 同社の宮田啓友代表取締役は「日本の在庫管理の手法を大きく変える可能性を秘めているロボット。2019年度中に製品化したい」と意気込む。東京湾を目前に控えた約30坪の空間から、物流現場を大きく革新する技術が日本中に発信されていく日はいつ到来するのか。人手不足に悩む物流企業や荷主企業が熱い視線を送っている。

センター内で複数台を一度に運用可能

 R&Dセンターは、大和ハウス工業の物流施設「DPL市川」の2階に構えている。内部には一般的な物流拠点を模した棚が多数置かれ、日用品などさまざまな商品を配置している。


物流拠点を想定したレイアウトにしているR&Dセンター

 GROUNDが開発を目指しているAMRは、中国のロボットメーカー、エイチ・アイ・ティー(HIT)・ロボット・グループと協業して生み出した試作機を基に、改良を重ねている。高さは約130センチメートル、土台部分の幅は約47センチメートル。棚の間の幅約1メートルの通路を自由に移動できるようになっている。

 ロボットにはタブレット端末とかごを乗せる棚が2段取り付けられている。WMS(庫内管理システム)のデータを基に、ピッキングすべき商品が収められている棚へ自動的に移動し、タブレット端末に個数などを表示。庫内作業のスタッフはロボットに追従し、その商品をピッキングしてかごに入れていく流れだ。

 複数のロボットを一度に走らせ、ピッキング作業をスピーディーに済ませることも可能。ロボットが先導役を務めてくれるため、不慣れなスタッフでもトラブルなくピッキングを終えられると期待されている。安全性に配慮し、人間など障害物を察知するとすぐにストップする機能を備えている。


複数台を同時に運用できるAMR


通路ですれ違うことが可能


タブレット端末に商品を分かりやすく表示

中小規模のセンター省人化への貢献目標

 GROUNDが物流業界などの注目を集めるようになった1つの契機が、インドのベンチャー、GrayOrange製自動搬送ロボット「Butler(バトラー)」の取り扱いを始めたことだ。AI(人工知能)を搭載し、商品を収めた可搬式棚の下に潜り込んでピッキングエリアまで移動させる仕組み。既にニトリグループなどへの納入実績を重ねている。R&Dセンターが入居している「DPL市川」でも、荷主間で共有するためにバトラーが導入されている。


「DPL市川」で活躍するバトラー

 バトラーのように人がいるところまで商品を持ってくるタイプのロボットは「GTP」と呼ばれる。導入後の省人化効果が高いことが魅力だが、初期投資がかさみ、物流施設内のレイアウトやオペレーションを大幅に変更する必要がある点がネックになりがちだ。

 宮田代表取締役は「AMRは人と協働することを前提として設計されており、既存の物流センターにそのまま導入できるため、GTPより初期投資を抑えつつ、従来のオペレーションも生かして業務の効率化や省人化を図ることが可能」と利点を解説。物流センターの規模や取り扱う製品などによってGTPとAMRを使い分けることが想定され、「中小規模の物流センターの省人化・効率化にも貢献したい」と力を込める。


AMRと撮影に応じる宮田代表取締役

固定ロケやフリーロケと異なる「第三の在庫管理手法」

 これまでR&Dセンターで進めてきた検証で、作業時間の3割削減といった効果を確認できているという。ただ、GROUNDは自律移動ロボットをリリースすることをゴールとは捉えていない。先端技術を駆使して物流現場全体を効率化する構想「インテリジェント・ロジスティクス」の実現へ、さらに次の段階を念頭に置いている。

 同構想実現の大きな鍵を握るのが、同社が現在、ロボットと併せて開発を進めている独自のソフトウエア「DyAS(ディアス)」だ。AI(人工知能)を利用し、物流センター内の最適な在庫や人員の配置計画をはじき出す。ディアスとAMRを連携させることで、入荷した商品の売れ行きや形状といったデータを基に最適な在庫配置を計算すると同時に、売れ行きが芳しくない商品の在庫ロケーションも見直すという、これまでの固定ロケーションやフリーロケーションとは異なる「第三の管理手法が可能になる」(宮田代表取締役)と見込んでいる。ロボットの適正配置も見込まれる。

 ディアスの研究開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「AIシステム共同開発支援事業」に採択された。今年7月にはトラスコ中山と協力して、実際の物流現場でディアスを在庫配置の適正化などに用いる実証実験を進める方針を発表。実用化への布石を着々と打っている。

 ディアスとAMRの二人三脚がうまく出来るようになれば、物流センターの異なるフロア、異なる荷主間で商品入出荷の波動に応じてロボットを自動的に融通し合うといった、これまでの物流業界では考えられなかった画期的なスタイルが実現するかもしれない。宮田代表取締役は「ディアスとAMRを活用し、さまざまな企業とパートナーを組んで物流を変えていくプラットフォームを構築していきたい」と壮大な夢を描く。今後はR&Dセンター自体の拡張も検討する可能性があるという。

(藤原秀行)

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