港湾の脱炭素化目指す
三井E&Sマシナリーは7月26日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業/研究開発項目Ⅲ (燃料電池の多用途活実現技術開発)」の助成対象として「港湾荷役機器ラバータイヤ式門型クレーンの水素駆動化(水素燃料電池の採用)開発事業」が採択されたと発表した。
現在、国土交通省は国際物流の結節点・産業拠点となる港湾で脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化などを通じて温室効果ガスの排出を全体としてゼロに抑える「カーボンニュートラルポート」の実現を図っている。
その一環で、コンテナターミナル内の荷役で広く用いられているラバータイヤ式門型クレーン(RTGC=Rubber Tire Gantry Crane、同社商品名トランステーナ)は、機上に搭載されたディーゼルエンジン発電機セットで得られる電気を動力源としているため、脱炭素化(ゼロ・エミッション化)が強く求められている。
同社は既に荷物の巻下時に発生する回生電力を蓄電池に貯め、負荷の大きい巻上時に再利用することでディーゼルエンジンの燃料消費量を低減し、排気ガス排出量を削減するハイブリッド型のトランステーナを2009年から販売している。
この技術を活用し、同開発事業では水素燃料電池パワーパックと大型の蓄電池を組み合わせたクレーン駆動システムを開発。同社大分工場に設置された開発試験用トランステーナに搭載し、ゼロ・エミッショントランステーナの駆動実証を行う予定。
事業期間は23年3月までの予定。従来システムと同等の荷役能力を発揮できることを実証する計画だ。
既に販売中の「ニア・ゼロ・エミッショントランステーナ」は「ゼロ・エミッショントランステーナ」に簡便に改造できるよう設計されている。水素供給インフラが整う際には、ニア・ゼロ・エミッショントランステーナのディーゼルエンジン発電機セットを水素燃料電池パワーパックに換装することでゼロ・エミッション化を図ることが可能という。
ハイブリッド型トランステーナ(画像は同社WEBサイトより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)