一五不動産情報サービス調査、開発コストアップ分の賃料転嫁進むとの見方多く
工業用不動産に特化した不動産調査を手掛ける一五不動産情報サービスは8月18日、不動産業界の関係者らを対象として半年ごとに行っている物流施設の不動産市況に関するアンケート調査結果を公表した。
半年後の物流施設の賃料に関する見通しを尋ねたところ、「上昇」が51・9%で最も多く、「横ばい」が46・9%、「下落」が1・2%となった。
「上昇」の割合は過去最高だった今年1月発表の前回調査時(57・5%)から5・6ポイント縮小したが、2回連続で過半数を超え、上昇の見方が根強いことを示した。
賃料水準の見通しの推移(一五不動産情報サービス調査結果資料より引用)
回答の理由を聞いたところ、「上昇」で最も多かったのが「土地価格や建築費などの開発コストが上昇し、その分の賃料転嫁が進むため」で25件と、前回調査の17件から増えた。一方、「コロナ禍でeコマースの需要がさらに拡大するため」は23件だったが、前回調査の39件から大幅に減少した。
他には「飲食料品・日用雑貨・医薬品など、幅広い業種で堅調な需要が期待できるため」が21件、「老朽化した保管型倉庫から、高機能な物流施設に需要がシフトするため」「労働力不足で雇用面で優位性のある物流施設に対するニーズが高まるため」がそれぞれ10件、「コロナ収束後のリバウンド消費で、物流施設への需要が拡大するため」が7件だった。
「横ばい」では、トップの「新規開発による供給増と物流ニーズの増加が均衡するため」が19件。次いで「コロナ禍で加速した賃料上昇に、上げ止まりの兆しがみられるため」が14件となり、前回調査の7回答から倍増した。
「景気悪化による収益性の低下と需給ひっ迫による賃料上昇圧力が均衡するため」が7件、「コロナ禍でのeコマース拡大のプラス面と景気悪化のマイナス面が均衡するため」が6件、「コロナ禍が収束し、eコマースからの需要が落ち着くため」が4件となった。
調査は7月20~30日、不動産に関係する実務家・専門家を対象に実施し、81件の回答を得た。
(藤原秀行)