「経済安全保障で早急な取り組み求められる」
内閣府は9月24日、2021年度の経済財政白書を公表した。
新型コロナウイルスの感染が続く中でも景気回復が続いているものの、政府が緊急事態宣言を断続的に発令し、経済活動を人為的に抑制してきたため、そのペースは緩やかなものにとどまっていると指摘。長期的な成長力を高めるため取り組むべき課題として、「感染対策と日常生活の回復の両立」「サプライチェーンの強靭化」「事業の再構築と人材の円滑な移動に向けた取り組みの強化」の3点を挙げた。
この中で、サプライチェーンの強靭化については、世界的な半導体不足で輸送機械の生産が影響を受けているほか、東南アジアでコロナ感染が続き経済活動が制限されているため自動車部品の供給が滞り、日系自動車メーカーが大幅な減産を強いられていることに言及。「経済安全保障の観点からも早急な取り組みが求められる」との立場を鮮明にした。
経済財政白書は毎年作成。日本経済の現状を分析し、解決に向けた方向性を提示している。
21年度の白書はこのほか、官民の業務デジタル化が遅れていることを問題視。特に中小企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)導入を実践・検討している割合が全体の4割程度にとどまっていることを紹介、人材育成の必要性をアピールした。
(藤原秀行)