調査・報告書作成業務全体で約25%の作業時間削減
沖電気工業(OKI)は9月30日、日本郵政にデジタル図面活用のクラウドサービス「TerioCloud」(テリオクラウド)を納入したと発表した。
日本郵政グループが全国2万件以上の施設・郵便局で施設維持・管理支援業務効率化を図るため、同社施設部が採用を決めた。約1年間の試行期間を経て、2021年4月から本格的に運用をスタートした。両社はTerioCloud活用で報告書作成時の写真や図面などの整理作業を中心に、業務の大幅な効率化を見込んでいる。OKIは今後も、施設管理などにTerioCloudの活用を働き掛けていく構え。
日本郵政が全国の施設・郵便局の維持管理のため実施している調査業務は、従来は紙図面とデジタルカメラを使い人手に多くを頼っているため、管理業務や現場調査結果の報告書作成の負担が長年課題だった。手書きによる調査状況の記録を帰社後に報告書としてまとめる工数が負荷となっていたほか、調査箇所によっては多くの専門技術者を現場に派遣する必要があり、広域自然災害時の緊急対応などにおける技術者の確保も難しい場合があった。さらに、現場の状況調査に多くの用具を持ち歩くため、屋上や脚立の上など足元の良くない場所では危険を伴う場面もあり、改善を迫られていた。
TerioCloudは一連の課題解決に向け、図面のデジタル化、施設保全業務の効率化を支援。タブレット端末1台で現場撮影から業務に不可欠な細かな図面の確認、情報を書き込んだり、撮影した写真の図面上へのプロットなどを簡単に実施したりできるのが特徴。納入と同時に、専用URL認証機能などを開発してセキュリティを高めるとともに、機能や操作性も現場状況に合わせて改善した。
日本郵政の試行期間中、ある案件ではTerioCloudの導入で調査・報告書作成業務全体で約25%の作業時間削減を実現。特に報告書作成時の写真整理や図面清書、写真帳出力などの作業は導入前に比べ約50%削減できたという。現場調査はタブレット端末のみで実施できるため、作業の安全性も向上したほか、現地と事務所をオンライン会議で接続しTerioCloudの画面を共有することで、図面上の場所・調査結果・写真などを事務所から確認、状況把握・作業指示を出すことが可能になった。現地作業の人数を最小限に抑え、広域自然災害時の緊急対応などにも素早く対応できる環境を整えられた。
TerioCloud導入で見込まれる効果(OKIプレスリリースより引用)
(藤原秀行)