【独自】「水素燃料電池でドローン物流実現へゲームチェンジが可能」

【独自】「水素燃料電池でドローン物流実現へゲームチェンジが可能」

ロボデックス・貝應代表取締役、「レベル3」は1~2年で可能と展望

ドローン開発を手掛けるスタートアップ企業ロボデックスの貝應大介代表取締役は11月30日、水素燃料電池を用いたドローンのデモフライトをメディアに公開した際、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。

貝應氏は、現状から大幅に飛行時間を長くすることが可能な水素燃料電池の実用化で、ドローンの産業利用が飛躍的に広がると展望。物流に関しても、離島や山間部など人が少ないところの上空を飛ぶ「レベル3」については「1~2年ほどで実現が見えてくるようになる。今思われているより驚くほど早いペースだろう」との見通しを明らかにした。

併せて、都市部上空を目視外飛行する「レベル4」も数年程度での達成が見えてくると解説。水素の安定調達にも自信を示した。水素燃料電池ドローンについては、2022年中に全国で実証飛行を重ね、まず自社で設計したドローンの販売にこぎ着けたいとの意向を表明した。


貝應氏


水素燃料電池ドローン

フライトコントローラーの開発・標準化にも意欲

ロボデックスは、現在一般的に使われている高機能リチウムポリマー電池では飛行時間を伸ばすことが難しいと判断。ドローン向けに水素燃料電池を小型化、搭載することで長時間飛行を可能にすることを想定している。今年10月には水素を充填した高圧タンクをドローンに乗せるのに必要な経済産業大臣の特別認可を取得するなど、着実に実用化の技術的な地ならしを進めている。

貝應氏は国土が狭い日本だからこそ、世界に先駆けてドローン物流を実現することができると持論を展開。「長時間飛ばす以外の技術は皆さん、すごくテストされてきたが、その部分が抜けてしまっているので、弊社がサポートできれば、びっくりするくらいのスピードで1回、ゲームチェンジが起きて、ドローンで物流ができるようになってくると思う」と語った。

同時に、商用サービスとして展開するにはコストがまだまだ高いと指摘。「まず国の補助金などでフォローしながらドローン物流を広げていくことが求められる。そこからルーティンワークのサービスとして展開できるようになってくる」と強調。国などの支援に期待を表明した。

水素燃料電池ドローンを普及させる上で不可欠な、利用者が水素を安定的に調達できる環境の整備については、現在連携している帝人グループで環境・省エネ機器などを手掛ける帝人エンジニアリングの力も借り、水素のタンクを利用時に必要な数だけ届けられるようにすることが可能との見方を示した。

貝應氏は、バッテリーを何度も充電することを考えれば、水素燃料電池を使うことについてもコスト的に絶対的に不利というわけではないと解説。実用化に向け、安定的な飛行に求められるフライトコントローラーの開発を急ぎ、標準化することにも強い意欲をのぞかせた。

(藤原秀行)

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