先行きは足踏み傾向、燃油高など影響か
日本銀行が12月13日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(今年9月)から2ポイント下がってマイナス5となり、2020年6月以来、6四半期ぶりに悪化した。
中堅企業は11ポイント上昇のマイナス15で6四半期連続の改善。中小企業も1ポイント上昇のマイナス15で5四半期続けて改善しており、景況感で強弱が分かれた。
DIは新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢悪化で、一時はリーマンショック後の不景気に見舞われていた2009年当時の低水準まで悪化したが、その後は新規感染者数の減少で経済活動が再開されているのを受けて持ち直している。ただ、プラス圏にあったコロナ禍前の水準とはまだ隔たりがある。
先行きの見方に関しては大企業がマイナス4で12月の結果より1ポイントの小幅改善を見込むものの、中堅企業と中小企業はともに15で12月から横ばいと足踏み傾向が見られる。石油価格上昇に伴う燃油高などが心理的な重しになった可能性がある。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9328社が調査対象で、99・3%が回答した。
全産業ベースの業況判断DIは大企業製造業が前回9月調査から変わらず、プラス18。大企業非製造業は7ポイント上昇のプラス9だった。政府が緊急事態宣言を解除したことで、飲食店やサービス業に客足が戻っていることが追い風になったようだ。
(藤原秀行)