政府のデジタル臨調が確認、地方で技術普及促進目指す
政府は12月22日、行政機関や民間企業の業務デジタル化を促進するための適切な規制や制度の在り方を議論する「デジタル臨時行政調査会」(臨調、会長・岸田文雄首相)の第2回会合を首相官邸で開いた。
岸田首相が公約として打ち出している、地方でデジタル技術普及を促進する「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、2022年春をめどに光ファイバーや次世代高速通信規格「5G」、データセンター、海底ケーブルの具体的な整備目標と、実現のための整備計画を策定する方針を確認した。
政府は現在、光ファイバーは「30年までに99.9%の世帯をカバー」、5Gは「23年度までに人口カバー率を9割に引き上げ」、データセンターは「10数カ所の地方拠点を5年程度で整備」との目標をそれぞれ設定。日本海側を周回する海底ケーブルを3年程度で完成させることも打ち出している。今後は既存目標をさらに推し進めることを検討する。
岸田首相は会合で「原則に沿って、三方良しの改革を進め、人手不足など現場の課題克服を促し、新しい資本主義実現に向けた成長を実現していく」と語った。
会合で発言する岸田首相(首相官邸ホームページより引用)
会合では、デジタル化を進める上で官民共通となる指針「デジタル原則」も決定した。行政手続きの書面や対面を原則として廃止、オンラインで行えるようにすることや、過度な事前規制をなくすことなどを打ち出した。今後、4万本以上の法令・通達と2万以上の行政手続きを総点検し、来春をめどに見直しのプランを取りまとめる。
デジタル原則は、
①デジタル完結・自動化
②アジャイルガバナンス(機動的で柔軟なガバナンス)
③官民連携
④相互運用性確保
⑤共通基盤利用
――で構成。
行政手続き・業務については、書面や目視、常駐、実施参加などを義務付けているものを見直し、デジタル処理での完結やドローンなど機械での自動化を基本にする。併せて、一律かつ硬直的な事前規制を排し、民間の創意工夫を尊重。「データを活用して政策の点検と見直しをスピーディに繰り返す機動的な政策形成を可能にする」と明言した。
公共サービスを提供する際には民間企業のUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)を活用したり、官民で適切にデータを共有したり、システム基盤を共通化したりすることも盛り込んでいる。
(藤原秀行)