まず10カ国で発効、9割程度の品目で関税を段階的に撤廃へ
日本と中国、韓国、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国、オーストラリア、ニュージーランドの計15カ国が参加する「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定」が1月1日、一部の国を除いて発効した。
RCEP協定は世界のGDP(国内総生産)全体の約3割を占め、日本の貿易総額の約5割に上るエリアをカバーしている。1月1日に国内の所用手続きを終えた日本や中国、オーストラリア、シンガポールなど10カ国でまず発効した。韓国は2022年2月1日に発効する。
自動車や家電、鉄鋼などの工業製品と農林水産物の関税撤廃に加えて、EC促進、知的財産保護、中小企業支援、各国間の技術協力、税関手続きと貿易の円滑化など幅広い内容が対象。加盟各国間で工業瀬品や農産品の品目の9割程度の関税を段階的に撤廃する計画。
発効でアジア太平洋地域を基礎とする巨大な自由貿易圏が始動した。日本にとっては中国、韓国の両国と初めて結んだFTA(自由貿易協定)となり、貿易活性化の効果が見込まれる。関税撤廃品目の比率は日本からの工業製品が中国向けで現在の8%から86%、韓国向けで19%から92%へ段階的に上昇する。
ただ、日本政府や与党が「聖域」と位置付けている米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の5品目は国内の農家保護のため、輸入時の関税撤廃・削減の対象には含めていない。
インドは関税引き下げなどをめぐり意見が対立、RCEP協定の締結交渉から離脱した。RCEP協定は発効日からインドがいつでも加入できる旨を特別に規定しており、15カ国は引き続きインドへ交渉復帰を働き掛ける。
(藤原秀行)