荷主に運送コストの正しい理解を訴え

荷主に運送コストの正しい理解を訴え

国交省など関係省庁がガイドラインを作成

 国土交通省などは12月27日、「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」(指針)を取りまとめた。荷主と運送事業者の双方が適正なコスト負担について相互理解を深めるため、必要な経費の構造を詳しく紹介した上で、効率的な運送業務の事例などを盛り込んでいる。ガイドラインは国交省のウェブサイトからダウンロードが可能。

 ガイドラインは関係省庁や学識経験者、運送事業者と荷主企業の担当者が集まり、「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」で議論してきた内容を基に作成。国交省のほか、厚生労働、経済産業、農林水産の各省も作成に携わっている。各省は今後、産業界にガイドラインの利用を広く働き掛けていく。

 冒頭、トラックドライバーの拘束時間規制の概要を掲載し、「コンプライアンス(法令順守)は安全確保などの観点から重要」と強調。具体的な取り組みとして、長距離運行で高速道路やフェリーを活用したり、受け付け予約システムやパレットを取り入れたりして業務時間を短縮、拘束時間を守っている事例を掲載し、「荷主側の協力が不可欠」と指摘した。

 また、運送に必要なコストとして燃料費のほか、ドライバーや運行管理者の人件費、福利厚生費、トラックの減価償却費などを挙げ、人手不足の状況では人件費のアップが不可欠になると解説。「法令を順守しつつ持続的に運送機能が提供される上では、こうしたコストを賄えることが重要」として、荷主にも運賃の適正化へ理解と協力を求めた。さらに、拘束時間などのルール違反に対する行政処分強化を進めていることにも言及した。

 最後にまとめとして、効率的な運送を可能とするため、燃料価格の変動に対応した燃料費を設定することや、荷主都合で生じたトラックの待機時間への対価を運賃とは別に設けることなどを提唱した。

(藤原秀行)

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