物流関連主要団体・企業の年頭所感④(完)
物流関連主要団体・企業の年頭所感①
物流関連主要団体・企業の年頭所感②
物流関連主要団体・企業の年頭所感③
「安全とコンプライアンスをないがしろにした業績に価値はない」
日本通運 齋藤充社長
昨年ほど企業のコンプライアンス(法令順守)が問われた年はなかったのではないか。事業の大前提は「安全」「コンプライアンス」「品質」だ。まず「安全は全てに優先する」。安全確認に手抜きをしない、基本動作を怠らないなどの「当たり前のこと」を愚直に実行してほしい。安全とコンプライアンスは利益と比較するものではなく、最優先すべきことであり、この二つをないがしろにした業績に価値はない。一人一人が胸に刻んで行動してほしい。
顧客は日通グループの品質に信頼と期待を持ち、お付き合いいただいている。仕事に誇りを持って業務に当たり、プロフェッショナルとして絶えずサービスを向上させる。品質は生命線であり、競争力の源泉であることを今一度肝に銘じてほしい。
「積極果敢に攻めるベンチャー精神を持ち続けたい」
SBSホールディングス 鎌田正彦社長
われわれが今後50年、100年と続く企業グループになるためには、グループの結束力、失敗を恐れずに何事にも挑戦する力や勇気、そして最速で駆け抜けるスピードが必要だ。現状に満足することなく将来に向かって、積極果敢に攻め続けてゆくベンチャー精神を持ち続けていたい。こうした背景を踏まえ、2019年度のグループスローガンは「融合」とする。SBSリコーロジスティクスとグループ各社の融合を図り、厳しいロジスティクス業界において輝かしい一歩を踏み出す年にしよう。
SBSリコーロジスティクスを加え、今まで以上にグループ一体となってリソース・ノウハウの共有を進め新規ビジネスに取り組み、グループとしてのシナジーを極大化できる体制を構築していく。
「小口混載の特性を生かして新たな道を探求」
第一貨物 武藤幸規社長
近年のデジタル革命の結果、消費財の購入形態がインターネット通販に大きくシフトしている。この流通革命はとどまるところを知らず、今後一層拡大すると思われる。われわれの特別積み合わせ事業の狙いは商業物流、すなわちBtoBに沿った物流である。一方、ネット販売はBtoCの宅配が主流。この「宅配がさらに拡大する」という大きな変化にどのように対応すべきか。今日の好調な業績の影で、まさに危急存亡の課題が忍び寄ってきている。
以前からの課題である川上物流、すなわち調達物流への注力が必要とされる。海外関係の開拓あるいは夜間の集荷・配達など、通常ではない輸送も考えていかなければならないかもしれない。小口混載という特積みの特性を生かしながら新たな道を見つけねばならないと考えている。この大きな変化に何としても対応していくべく考え、行動していかねばならない。これからの40 年、50 年、それ以上の事業継続を考え、怯まず恐れずに力を合わせ進んでいこう。
「全員が働き方は変えられるという強い信念を」
三菱ケミカル物流 福田信夫社長
三菱ケミカルホールディングスグループ事業への貢献については、三菱ケミカル社への統合後の方針の一つである物流機能の統合、効率化を着実に進捗させていきたい。物流・建設・介護の事業分野で人手不足が顕在化しているといわれている。環境対応のために各種処遇や条件を見直し現場改善も進めていきたい。
基盤整備ではハード、ソフト両面で対策を打っていく。AJIOS(新物流基幹システム)が今月から稼働する。稼働後はポストAJIOSとしてさらなる利便性向上に向けた検討を進めていきたいと考えている。ハード面では設備の更新を計画的に行い、内航事業においても船の増強や船員対策について関係各社と協力しながら対応を取っていきたい。
働き方改革ではAJIOS以外にもOFFICE365、Skypeなど新しいシステムを導入したが、OCR(光学式文字読み取り装置)やRPA(ロボット・プロセス・オートメーション)の導入を推進していきたいと考えている。現場の作業改善については各種テーマを昨年実行したが、今年も新規テーマを発掘し効果や改善が実感できるテーマから優先して取り組んでいこうと思う。全員が働き方は変えられる、という強い信念の下で取り組んでもらいたい。三菱ケミカルホールディングスグループが目指している「KAITEKI健康経営」を働き方改革によって実践していく。
(藤原秀行、鳥羽俊一)