米中経済摩擦が貿易や投資に影落とすと予測
世界銀行は1月8日、2019年の世界経済見通しを改定した。世界全体の経済成長率(実質GDP)は2・9%で、昨年6月時点の旧来予想値から0・1ポイント引き下げた。米中両国の経済摩擦などが貿易や投資に影を落とすとみている。
成長率は17年実績の3・1%から18年見込みは3・0%、20年と21年の予想はともに2・8%と緩やかな減速を想定。世銀は「貿易摩擦の激化が世界経済の鈍化を招き、相互に結び付いたグローバルなバリューチェーンを混乱させることも考えられる」と警告している。
地域別の予測を見ると、米国は19年が2・5%で前年から0・4ポイント低下し、20年は1・7%、21年は1・6%とスピードダウン。トランプ政権が攻勢を掛けている貿易戦争が輸出と投資に影響するほか、米連邦準備理事会(FRB)の利上げも重しになると指摘している。
中国も19年は6・2%で前年比0・3ポイント下がり、20年は6・2%、21年は6・0%になると見込む。政府が進める減税などの景気刺激策は効果があると考えるものの、「巨額債務の解消といった課題解決に望ましくない影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
日本は18年が0・8%で前年から1・1ポイント減速し、19年は0・9%、20年が0・7%、21年が0・6%にとどまる見通し。消費税増税の影響は「政府が講じる需要喚起策で一時的に緩和できる」との見方を示している。
アジアではインドが19年以降も7%台、インドネシアは5%台、タイは3%台後半の成長が続くと予測している。
(藤原秀行)
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