【現地取材、動画】三菱ふそう、EVトラック「eCanter」の次世代モデル試作車を初公開

【現地取材、動画】三菱ふそう、EVトラック「eCanter」の次世代モデル試作車を初公開

ラインアップ拡充し細かなニーズに対応、安全性能向上で数年以内の発売目指す

三菱ふそうトラック・バスは3月15日、2017年に発売した国内初となる量産型の小型電気自動車(EV)トラック「eCanter(eキャンター)」の次世代モデルの試作車両を、栃木県さくら市の同社喜連川研究所でメディアに初めて公開した。


公開した試作車


現行のeCanter

eCanterは2020年に先進安全性能を備えた改良モデルを市場に投入。排気ガスを出さず走行中の音が静かでパワーにも優れている点が評価され、日本や米国、欧州、オーストラリア、ニュージーランドで計350台以上を物流現場などに納入。累計走行距離はグローバルで450万キロメートルを超えている。

三菱ふそうは世界的な脱炭素の潮流を踏まえ、2039年までに国内で導入する全ての新型車両を電動化するとの目標を掲げている。その達成を後押しするため、eCanterの次世代モデルは航続距離が異なる複数の車種を開発し、宅配やルート配送など多様な需要をカバーできるようにする計画。災害時に充電している電気を外部に給電できるようにすることも念頭に置いている。安全性能もさらに高める予定だ。

今後は国内外で100万キロメートル以上の走行テストを重ね、数年以内の販売開始を目指す。価格は未定。

同研究所内で記者会見した三菱ふそうの安藤寛信副社長兼開発本部長は「CO2ニュートラルな輸送を実現し、社会全体の持続可能性確立に貢献していきたい」と述べた。


会見する安藤氏

現行のeCanterは7.5トンで航続距離は約100キロメートル。試作車は車両総重量6トンの標準キャブと幅広のワイドキャブ、8トンのワイドキャブの3種類をお披露目した。同研究所内で勾配のきつい坂を上ったり、一気に加速したり、でこぼこした悪路を再現したコースを走ったりする姿を公開。通常のトラックより走行音は非常に小さく、加速もスムーズな姿をアピールした。


3タイプの試作車。左から車両総重量8トンのワイドキャブ、6トンのワイドキャブ、標準キャブ


悪路を再現したコースを走る

同社は併せて、同研究所内で2021~22年にかけて新たに設置したEV試験棟などの設備も公開した。EVトラックの機能を検証したり、各コンポーネントの性能評価を行ったりする設備のほか、EVに用いるリチウムイオンバッテリーを分解して解析できるバッテリー分解室、EVトラックから外部に給電する試験設備などを備えている。


EVトラックを制御する「ECU」の機能を検証するベンチ(部屋)


高電圧コンポーネントの評価を行うテストベンチ


走行試験後の車両のリチウムイオンバッテリーを分解、状態を確認する「バッテリ分解室」。発熱した場合などは作業台を下げてバッテリーを水の中に沈め、すぐに冷却できる


高出力急速充電器

(藤原秀行)

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