自社車両活用、おむつ交換や授乳などに個室提供
UDトラックスは3月16日、自社製品のトラックと従業員を活用した災害支援プログラムを展開すると発表した。
自社車両を使い、災害の際に被災者支援へ投入できる独自の「災害支援車」2種類を開発した。今後、本社がある埼玉県上尾市を中心に活用していくことを視野に入れている。
上尾市の同社本社工場は広い敷地を備え、多くの人的資源も抱えている。こうした特性を災害援助・復興支援に生かしたいと判断、地方自治体関係や地域で支援活動を行う団体関係者と協議を開始した。
災害時の避難所では、限られた空間の中で共同生活を余儀なくされるため、被災者にとっては心身への負担が非常に大きくなる。そこで、人道的な避難所運営のための行動理念と基準などについての最低基準を明文化した「スフィアハンドブック」などを参考にしながら、プライバシーや衛生面に配慮した安心・安全な環境の提供とライフラインの充実を同プログラムの活動方針に据える。
同社のトラックの荷台部分をプライバシーが確保できる空間として活用することを第一案として、具体的な設計方針を決定。様々な設計案を検討した結果、架装メーカーなどの協力を得て2タイプの「災害支援車」を実現した。
1台はバンタイプの小型トラックで、避難所や被災現場での運用を想定。室内にはエアコン、冷蔵庫、水タンク式シンク、充電キャビネット、AED装置などを完備し、プライバシーを確保した2つの個室でおむつ替えや授乳といったベビーケア、障がい者や高齢者の身体ケアなどの個別用途にも対応している。
また、ソーラー発電システム、ディーゼル発電機、リチウムイオン蓄電器を搭載しており、モバイルバッテリーの充電や貸し出しサービスなどを通じ、ライフラインとしての通信を確保するための手段を提供する計画。東日本大震災の際は、今まで信頼度の高かったエンジン式発電機がメンテナンス不足のため稼働しないという事態が発生するなど、防災計画(BCP・MLCP)で電源確保には複数のバッテリーユニットの導入が必須との知見を得た。
おむつ交換台を設置した個室
屋根全面のソーラーパネルで発電
もう1台は平ボディタイプの小型トラックで、主に被災現場において土のうや被災家財の運搬用途で運用する予定。重量物の積載や倒壊家屋の下敷きになった家具などの搬出を想定し、テールゲートリフターやウィンチを搭載している。
当面は上尾市内での活動を想定しているが、活動の成果を検証しつつ、上尾市外や同社が事業を展開するその他の地域への横展開も将来的な課題として検討する予定だ。
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)