多様な海上輸送ニーズに対応狙い
商船三井と商船三井システムズは3月25日、「数理最適化」の技術を活用した自動車船のスペースマネジメント(運航船各船へのブッキングの割り当てと航海計画の策定)の自動化実証実験に成功したと発表した。
数理最適化はAIの基礎技術の1つで、与えられた制約条件の下で目的関数を最小か最大のいずれかにする解を求める。
自動車船オペレーターとして顧客の多様な海上輸送ニーズや物流要件に対応するには、船のスペースを最大限に活用することに加え、多様な車種構成や積み揚げ港の組み合わせ、積み港および揚げ港到着スケジュールに関する要望などの諸条件を考慮しながら安全輸送を絶対条件に据え、無駄のないルートで航海スケジュール策定を複数隻、同時進行で行うことが不可欠。
従来は熟練担当者による検討が必要だが、今回開発したアルゴリズムを活用することで、従来の約3倍のパターンの計画候補を同時検討できるようになり、より最適な航海スケジュールでの貨物輸送が可能になるとみている。
同社は大阪大学大学院情報科学研究科の梅谷俊治教授の協力を得て、2021年に「配船計画」と「貨物積み付け計画」の効率化支援システムの運用を開始。2つの工程を橋渡しする「運航船各船のスペースマネジメント」でも同様に数理最適化を取り入れて自動車船業務全体の意思決定をスピードアップし、現在以上に多様なニーズへ対応した細やかな輸送サービスの提供と、運航船各船のスペースの効率的活用および運航効率の改善による温室効果ガス排出量削減を加速させる。
(藤原秀行)※画像はいずれも商船三井プレスリリースより引用