ロシアのウクライナ侵攻で軽油価格上昇など影響か、先行きは大幅な改善見込めず
日本銀行が4月1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(昨年12月)と変わらずマイナス2だった。
一方、中堅企業は4ポイント低下しマイナス18、中小企業も8ポイント低下しマイナス21とともに悪化した。
DIは新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢悪化で、一時はリーマンショック後の不景気に見舞われていた2009年当時の低水準まで悪化したが、その後は新規感染者数の減少で経済活動が再開されているのを受けて持ち直していた。
しかし、今回はロシアによるウクライナ侵攻で軽油価格が上昇するなど影響が広がっており、経済の先行きも不透明になっていることが、中堅・中小企業の景況感を押し下げたようだ。
なお、今回から調査対象の企業が変わったことに伴い、12月時点のDIは修正されている。
先行きの見方に関しては大企業がマイナス1で3月の結果より1ポイントの小幅改善を見込むものの、中堅企業はマイナス20で3月の結果から2ポイント低下。中小企業はマイナス20で3月の結果から1ポイント上昇。景況感の大きな改善は見込めない。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9362社が調査対象で、99.1%が回答した。
全産業ベースの業況判断DIは大企業製造業が前回調査から3ポイント低下し14、大企業非製造業も1ポイント低下のプラス9だった。中堅・中小企業も悪化した。
(藤原秀行)