CBREリポート、関心度が依然高く
シービーアールイー(CBRE)は4月6日、日本の不動産に対するインバウンド・アウトバウンドの投資に関するリポートを公表した。
2021年の海外投資家によるインバウンド投資額は103億ドル(約1兆2300億円)で、前年実績から21%と大きく減少した。CBREは「主因は前年の大型取引からの反動減」と分析、この影響を除けば実質的には横ばいとの見方を示している。
アセットタイプ別に見ると、物流施設への投資額が66%増の34億ドル(約4000億円)となり、2005年以降では最大規模を記録した。オフィスビルは17%増の39億ドル(約4700億円)で3年続けて前年実績を上回った。
22年については、CBREが昨年12月に実施した投資家意識調査で、アジア太平洋地域の魅力的な都市として、3年連続で東京が首位になったことに言及。日本を投資対象にしている海外投資家の74%が、22年の取得額が「昨年より増加する」と予想しているほか、海外投資家が選んだ魅力的なアセットタイプは「物流施設・産業施設」が38%で、「オフィス」の24%を上回ってトップとなったことも紹介している。
海外投資家から日本の物流施設に対する注目度は依然高いことをうかがわせた。
一方、日本の投資家によるアウトバウンド投資は72%増の20億ドル(約2400億円)と大きく伸びた。CBREは「米国での投資額増加が主因」とみているが、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年実績(36億ドル、約4300億円)を4割超下回った。コロナ禍による渡航規制のため、現地に構えている拠点やパートナー企業などを通じた取引がメーンになったと分析している。
アセットタイプは、インバウンド投資と同じく、物流施設が約6.2倍の9億ドル(約1100億円)と、05年以降で最大だった。その大半が米国での取引という。
(藤原秀行)