フードデリバリーの仕事「続けたい」8割、社会的地位の低さや収入に不満の声

フードデリバリーの仕事「続けたい」8割、社会的地位の低さや収入に不満の声

支援団体が配達員1.4万人意識調査、本業との“二刀流”も目立つ

フリーランスとして働く人の労働環境改善など支援活動を展開している一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会は3月29日、フードデリバリー配達員らの労働実態を調査した「フリーランス白書2022」を公表した。

フードデリバリー配達員として回答した人の約半数が個人事業主だったが、会社員も3割弱に上り、本業との“二刀流”でフードデリバリーに当たっている人が一定数いることが確認できた。年齢層は20歳未満から70歳代まで幅広く分布しており、フードデリバリーの仕事の普及が進んでいることをうかがわせた。

配達員の仕事を続けたいと答えた人が8割に達した一方で、社会的地位の低さや収入に不満を訴える向きが目立った。

調査はウーバーイーツジャパンや出前館などが加入している業界団体の一般社団法人日本フードデリバリー協会の協力を得て実施。2021年12月から22年1月にかけ、インターネットを通じて1万3844人から有効回答を得た。

配達が主な収入の層とそこまででもない層に二分

1週間の平均稼働時間は「5時間未満」(20.5%)、「5~10時間未満」(21.8%)、「10~20時間未満」(17.3%)、「20~40時間未満」(19.2%)がそれぞれ2割程度と分散。週40時間未満が全体の8割を占めた。

個人の収入全体におけるフードデリバリー配達員収入の占める割合は「10割(全て)」が28.1%で最も多く、「2~3割」が20.7%、「1割」が18.8%と続いた。回答者の4割が、収入全体における比率が3割以下だった。配達が主な収入になっている層とそこまででもない層に二分されている。

1週間の平均報酬は「1万~3万円未満」が29.4%でトップ。「5万~10万円未満」(19.1%)、「3万~5万円未満」(15.0%)、「5000~1万円未満」(11.7%)などと続いた。

1週間の最高報酬は首位が「5万~10万円未満」(27.9%)で、以降は「1万~3万円未満」(21.4%)、「3万~5万円未満」(17.6%)、「10万~15万円未満」(15.8%)などとなった。

職業は「個人事業主」が47.6%で断トツのトップだが、2位に「会社員」(27.9%)が入り、本業を続けながら副業としてフードデリバリーに当たる人も一定程度見られた。「フリーター」が9.4%、「学生」が8.2%、「経営者」が2.2%、「専業主婦・主夫」が1.5%などと続いた。

年齢は「40歳代」が29.2%で1位。「30歳代」(28.8%)、「20歳代」(21.2%)、「50歳代」(15.2%)、「60歳代」(2.9%)、「20歳未満」(2.4%)と多岐にわたっており、「70歳以上」も0.3%いた。

最も多く使っている移動手段は「自転車」が47.1%で半数近くに上り、「原付バイク」が38.8%で迫っている。「軽貨物」は12.2%、「徒歩」は0.3%。

フードデリバリー配達員としての働き方にどの程度満足しているのかを尋ねたところ、「全般」は68.0%で、不満の14.0%を大きく上回った。満足度は「就業環境(働く場所/場所など)」(74.4%)、「仕事上の人間関係」(71.1%)、「達成感/充実感」(69.0%)といった項目で高かった。

半面、「社会的地位」は17.0%にとどまり、不満が38.8%と2倍超に達した。「多様性に富んだ人脈形成」も19.0%で、不満が23.1%と上回った。「収入」は満足が45.1%で、不満の32.2%を超えたが、不満の割合は全ての項目中、2番目に高かった。

今後も業務を続けたいかどうかについては、「ずっと続けたい」が20.8%、「しばらくは続けたい」が61.1%で合わせて8割強に上った。「なるべく早くやめたい」は11.1%、「今すぐやめたい」は1.5%だった。


(調査結果資料より引用)

(藤原秀行)

「フリーランス白書2022」はコチラから(協会ホームページ)

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