需要獲得に自信、米国での事業展開やデータセンターにも意欲
大和ハウス工業の芳井敬一社長兼CEO(最高経営責任者)は5月17日、オンラインで開催した2022年3月期決算と新たな中期経営計画に関するメディア向け説明会で、物流施設の開発・運営に関し、今後も需要は期待できるとの見解を示すとともに、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で建築資材が高騰している現状でもハイペースの開発を継続していくことに強い自信を示した。
芳井社長は物流施設需要について「今後、需要が落ちるということは全く考えていない。逆に(eコマースの)荷物が増えていくと思う。既存の倉庫はまだ80%以上が旧式のもので、今の状況を賄えるとはとても思えない」と指摘。同社が手掛ける先進的な機能を備えた物流施設のニーズは今後も見込めると前向きな見方を明らかにした。
2022~26年度を対象とする新中計の期間中、事業施設の不動産開発投資に1兆5000億円を充てる方針を示していることに関し、物流施設が占める割合について「はっきりとは示していないが、ほとんどだと思う」と語った。
開発用地や建築資材の高騰については、戸建て住宅やマンションなども含めたグループ全体で大量に購入するバイイングパワー(調達力)や、自社で施行も手掛ける建築事業者の側面も持っている点を武器にして、原価を低減できると解説。グループ全体で上昇後の資材原価から10%抑える目標を掲げていることを明らかにするとともに「コスト競争力を強化する大きなチャンス。土地の取得も含めて、われわれのそうした強みの幅がさらに広がると思っている」と強調した。
物流施設開発・運営の海外展開については、既に進出している東南アジアでは順調に事業を伸ばせており、インドネシアで冷凍・冷蔵倉庫の開発を視野に入れていることなどを説明。米国に関しても日系企業など向けに物流施設やデータセンターを開発していきたいとの考えを示した。
芳井社長(2019年撮影)
(藤原秀行)