コロナ禍から国際物流が回復、運賃高騰の影響も
矢野経済研究所は5月25日、物流関係の17業種の市場動向調査結果を公表した。
2022年度の総市場規模は前年度比2.2%増の22兆500億円、23年度は1.9%増の22兆4610億円と予想している。新型コロナウイルスが世界的に感染する前の18年度(21兆1590億円)や19年度(20兆5400億円)の実績を上回り、着実に伸びていくとみている。コロナ禍から世界経済が回復するのに伴い荷物量が伸びる上に、海上・航空運賃の高騰が影響する可能性がある。
物流17業種総市場規模推移・予測
(矢野経済研究所資料より引用)
20年度の物流17業種総市場規模は2.4%減の20兆405億円と推計。国内(内需)関連物流はEC市場や食品スーパーなどの一部小売業態、医薬品・医療機器関連、半導体等のエレクトロニクス関連など、堅調に推移した分野も見られた。
一方、コロナ禍で低迷した自動車産業などの国内主要産業向けの物流は、勢いに欠ける結果となり、全体の足を引っ張った格好だ。
国際物流は、新型コロナウイルス感染拡大で特に20年度前半は経済活動が世界的に停滞したため、海上輸送・航空輸送がともに荷動きが大きく低迷。その後は中国の生産活動再開や米国の消費回復などで荷動きは復活傾向に向かったものの、海上コンテナ輸送をはじめとしたコンテナ貨物の滞留や滞船、運航遅延が頻発し、回復の大きな足かせとなった。
2021年度の物流17業種総市場規模は、7.7%増の21兆5810億円を見込む。
EC市場の拡大を受け、引き続きラストワンマイルを中心とした物流業種の宅配便や軽貨物輸送などは堅調に推移。産業向けの物流も20年度に比べると回復する見込み。海上輸送・航空輸送の需給ひっ迫による輸送運賃の高騰も継続している。
矢野経済研究所は「前年度比7.7%増という大幅な市場拡大は輸送運賃の高騰による部分が大きく、物量や荷動きがコロナ禍以前の水準に回復することは想定していない」と指摘。物流業種別では、海運や宅配便、航空貨物輸送、フォワーディングなどが大幅に増加し、市場規模を押し上げる見込みと説明した。
調査は2022年1~4月、国内の有力物流事業者らを対象に実施した。
<物流17業種の定義>
海運事業、3PL事業、宅配便事業(国内)、特別積合せ貨物運送事業、普通倉庫事業、フォワーディング事業、一般港湾運送事業、冷蔵倉庫事業、引越事業、航空貨物輸送事業、鉄道利用貨物運送事業、軽貨物輸送事業、国際宅配便事業、鉄道貨物輸送事業、バイク便輸送事業、納品代行事業、その他事業(トランクルームおよび周辺事業)。
<市場に含まれる商品・サービス>
海運事業、3PL事業、宅配便事業(国内)、特別積合せ貨物運送事業、普通倉庫事業、フォワーディング事業、一般港湾運送事業、冷蔵倉庫事業、引越事業、航空貨物輸送事業、鉄道利用貨物運送事業、軽貨物輸送事業、国際宅配便事業、鉄道貨物輸送事業、バイク便輸送事業、納品代行事業、その他事業(トランクルームおよび周辺事業)
(藤原秀行)