パナソニックコネクトが内容刷新の顧客向け専用施設を公開
パナソニックホールディングス傘下で製造業や流通業、物流事業者の業務効率化などBtoBのソリューションを手掛けるパナソニックコネクトは5月24日、東京都中央区銀座の本社内に設けている、顧客がソリューションを体験できる専用施設「カスタマーエクスペリエンスセンター(CXC)」を刷新、メディアに公開した。
CXCは2019年1月にオープン。今回のリニューアルでは各種ソリューションの展示内容を拡充し、来場者が実際の現場で起こり得る課題をどのように解決できるか、より臨場感を持って体験できるよう配慮している。
パナソニックグループが得意とするセンサーやAI画像解析などの先端技術の効果もより分かりやすく紹介。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な感染流行)といったアクシデントに対しても、先端技術などを組み合わせることでサプライチェーンの混乱を最小限にとどめ、輸配送など一連の業務を円滑に運営し続けられる姿を示す。
パナソニックコネクトは昨年9月に買収が完了した米国の製造業・流通業向け業務効率化支援ソフトウエア大手ブルーヨンダー(旧JDAソフトウェア)と連携し、在庫数量の変動把握や商品の需要予測といった現場の幅広い課題を解決してサプライチェーン全体の効率化を後押しするSCM(サプライチェーンマネジメント)関連事業に注力している。CXCを通じて自社グループの理念と技術を物流業界などに幅広く浸透させていくことを目指す。
さまざまなメッセージや映像を紹介できるCXCエントランスのモニター(パナソニックコネクト提供)
かご台車搭載の荷物量、ほぼリアルタイムで把握
CXCは市場動向や実際の業務改善事例などを説明するプレゼンテーションエリア、各種ソリューションをアピールする展示エリア、打ち合わせなどに活用できる共創エリアで構成。展示エリアはパナソニックコネクトが現場課題解決に取り組む上で重視している「可視化」「標準化」「最適化」のアプローチをアピールしている。
(上から)プレゼンテーションエリア、展示エリア、共創エリア
物流領域向けのソリューションは、トラックの積載量可視化を発表。かご台車に積まれている荷物の量をAI画像処理と赤外線センサーで迅速に把握、トラックの積載率を割り出すことで配送業務の効率化につなげられると見込む。かご台車がセンサーをの下を通過すればほぼリアルタイムでデータをつかめるため、作業を止める必要がないのがメリットだ。
積載量可視化ソリューション(パナソニックコネクト提供)
一方、ピッキング作業改善は同じくAI画像処理などの技術を使い、作業スタッフが指示書を読み込んで棚から該当する商品を取り出し、バーコードをスキャン、コンテナに収めるといった一連の業務の各工程でどの程度の時間を要したかを、細かく算出。どの工程に問題があるのかを分析、顧客に改善策を提示することを想定している。
他にも配送計画の最適化とトラックの動態管理を並行して行えるソリューションも提案している。
配送計画最適化・動態管理ソリューション(パナソニックコネクト提供)
流通現場のソリューションとしては、店舗の棚にある商品数などをセンサーやAI画像解析でリアルタイムに掌握、売れ行き状況を細かくつかみ、在庫数が基準を割り込むと適宜品出しできるようにする。また、来店客が店内のどのエリアに滞在しているかを画面に表示、売れている商品を探り当てて最適なタイミングで補充できるようにし、欠品の回避を可能にすることを目指している。
棚の商品数可視化ソリューション(パナソニックコネクト提供)
来店客の動向可視化ソリューション(パナソニックコネクト提供)
パナソニックコネクト現場ソリューションカンパニーの一力知一エグゼクティブコンサルタントは「パナソニックの技術とエッジデバイス、実際に製造業で培ったオペレーションを使って個別の業務最適化を行う。そして、ブルーヨンダーを使って各要素をつなぎ、サプライチェーン全体を最適化していく」と強調。
パナソニックコネクトが目標に掲げている、工場の稼働具合や在庫の数量などの状況変化をリアルタイムで把握、配送や入出荷を自動的に効率化・最適化していく「オートノマス(自律的な)サプライチェーン」の実現にもあらためて意欲を示した。
ブルーヨンダー紹介コーナー(パナソニックコネクト提供)
「オートノマスサプライチェーン」の概念(パナソニックコネクト提供)
(川本真希、藤原秀行)