ヤマトHD・長尾社長、車両電動化と連動し集配拠点の再エネ利用拡大促進を表明

ヤマトHD・長尾社長、車両電動化と連動し集配拠点の再エネ利用拡大促進を表明

今夏以降、日野製EVトラックを順次導入へ

ヤマトホールディングス(HD)の長尾裕社長は6月3日、今後の経営方針などについて東京都内で記者会見した。

長尾社長は2020年に打ち出した、グループの主要事業会社再編や事業のDX促進などを盛り込んだ構造改革計画「YAMATO NEXT100」について、着実に進展しているとの認識を表明。「これから先の成長に向けて、ビジネスに合致する形で経営資源をどのように配置しなおすか、かなりプランニングしながら段階的に展開しているところだ」と述べ、宅配便の拠点再編などを大胆に進めていく意向を示した。

また、脱炭素化を求める社会的潮流に応えるため、配送用車両のEV(電気自動車)化を進めていく考えを改めて表明。車両電動化と連動させる形で、集配拠点の再生可能エネルギー利用拡大も図る方針を強調した。


会見する長尾社長

長尾社長は「そもそもCtoCでスタートしたわれわれが、今や法人のお客様からの出荷が9割を超える状況になっている。いつまでも宅急便というパッケージだけを買っていただくということではないというのは数年来社内で議論してきた」と経緯を説明。

「宅急便でお付き合いを深めさせていただいた法人のお客様に対しても、宅急便だけではなく、1つの会社でフルに全てご提案し、課題解決や価値創造につなげていく体制がスタートしたと思っている。1年目に手直ししなければいけないところが見つかればその都度直してきて、2年目を迎えている」と語り、宅配ネットワークの拡充に加え、EC事業者の配送効率化・迅速化、荷主企業の物流再編といったソリューション領域にもより果敢に取り組んでいく必要性を訴えた。

配送車両のEV化については、日野自動車が開発したラストワンマイル配送向けのEVトラックが今年夏以降、順次量産に入り、現場に随時導入していくとの見通しを示した上で「単にEVに代えていくだけではなく、どこを走らせるかという話とリンクさせながら進めていこうと考えている」と解説。

集配拠点の配置について「相当見直しをかけている。かつて5000店構想が20年近く前にあり、それによって生まれた小規模な店が相当数まだ残っている。集約化するという設計図を相当書いている」と説明。「集約化して立ち上がる拠点は、使用するエネルギーをどう調達するか、調達するエネルギーをどうマネジメントするかということも含めて進めようとしている」と述べ、EV向けの電力を太陽光発電などの再生可能エネルギーで賄うことなどを視野に入れていることを示した。

また、「幹線輸送は水素などいろんなツールの可能性がある」と語り、長距離輸送にはFCV(燃料電池車)の採用などを念頭に置いていることをうかがわせた。

ヤマトHDは2050年の温室効果ガス排出実質ゼロの目標達成に向け、2030年に20年度実績比で排出量を48%減らす方針を表明。その実現へEVをグループで2万台導入することを打ち出している。


ヤマトが実証実験に投入している日野自動車製のBEV(バッテリーを使った電気自動車)

(藤原秀行)

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