商用電気自動車の普及へ充電時間短縮など図る
ヤマト運輸と商用車の技術開発を手掛けるCommercial Japan Partnership Technologies(CJPT)は7月27日、カーボンニュートラル社会の実現に向けたエネルギーマネジメントの一環として、カートリッジ式バッテリーの規格化・実用化に向けた検討を開始すると発表した。
商用電気自動車(BEV)の導入に当たっては、従来のガソリン車・ディーゼル車と比べて長い充電時間を要すること、充電タイミングの集中による物流のダウンタイム(車両や荷物が止まる時間)が増加することなどの課題がある。加えて、充電タイミングが車両の非稼働時間帯に集中することによる施設の電力ピークの増加なども含め、社会全般の負担が増大することが想定される。
両社はこうした課題を解決するため、着脱・可搬型のカートリッジ式バッテリーが有する以下のような利点を踏まえ、実用化に向けた検討を開始することにした。
BEV導入コスト低減 搭載電池を走行距離に必要十分な容量に絞り電池総量を削減
ドライバー充電負担軽減 充電インフラ設置に関する負担を軽減
物流ダウンタイム削減 電池交換により、車両への充電時間を削減
電力需要平準化 車両の稼働中にも交換用電池を充電することで電力ピークを低減
カートリッジ式バッテリー イメージ(プレスリリースより引用)
CJPTは、カートリッジ式バッテリーを搭載可能な商用BEVの企画も進める。BEV商用軽バンからBEV小型トラックまで、カートリッジ式バッテリーや充電システムを共通化することで商用BEVのコスト低減や普及を図り、エネルギーマネジメントのソリューションの1つとして、利用実態に合った使い方を提案していきたい考え。
ヤマト運輸は、カートリッジ式バッテリーにより、地域社会との新たな電力利用スキームを共創することで、輸配送パートナーまで含めたグリーンデリバリーのエコシステムの構築を目指す。再生可能エネルギーの発電ピークと商用BEVへの充電タイミングのずれを解消し、グリーン電力の活用促進を図るとともに、災害時や電力インフラの維持が難しい地域にカートリッジ式バッテリーを配送するなど、電気エネルギー供給地域社会への貢献を図る。
両社はカーボンニュートラル社会実現に貢献するために、電動車の普及を目指し、カートリッジ式バッテリーの規格化・実用化に向け、新たなパートナーとの連携についてオープンに検討する。
(藤原秀行)