三菱電機と産総研がAIで工場の生産準備作業を効率化

三菱電機と産総研がAIで工場の生産準備作業を効率化

熟練技能が必要なFA機器の設定時間などを大幅に短縮

 三菱電機と産業技術総合研究所(産総研)は2月5日、FA機器やシステムの調整、プログラミング、位置設定など、工場の生産・稼働前に必要な準備作業を人工知能(AI)で大幅に削減・短縮する技術を開発したと発表した。

 熟練技能者のスキルや経験に依存していた部分をAIに置き換えることで、工場の生産性向上とオペレーション効率化に加えて生産現場の人手不足にも寄与できると期待を寄せる。今後は三菱電機のFA機器・システムに実装を進めていく方針だ。

 三菱電機と産総研の「FA分野へのAI技術活用に関する共同研究」により開発したもの。前者がサーボシステム・レーザー加工・ロボット組み立てへのAIアルゴリズムの実装と改良・評価、後者がAIを活用した最適化・画像認識・データ分析技術の提供を担当した。

 主な特徴として
▽サーボシステムでは熟練技術者でも1週間以上かかる位置決め制御を1日で自動調整
▽レーザー加工機では加工面の品質を熟練技術者と同等精度で自動判定して良好な加工品質が得られる条件に調整
▽産業用ロボットではシステム立ち上げ時に大きな労力を要する異常判定処理プログラムの作成時間を3分の1に削減
――を挙げる。

 少量・多品種生産のニーズが高まる中、生産現場ではFA機器などを作動させる準備作業の工数が増えている。一方でこれら作業に対応できる独自のノウハウを持つ熟練技術者が不足しているのが実情。三菱電機では今技術を同社のAI「Maisart」(マイサート)の一つとして展開する考え。

(鳥羽俊一)


工場での生産準備作業を効率化するAI技術※クリックで拡大

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