【独自】処方薬宅配、患者へ正しく安全に渡せるよう物流事業者サポートに意欲

【独自】処方薬宅配、患者へ正しく安全に渡せるよう物流事業者サポートに意欲

調剤薬局支援のカケハシ・中尾社長、ドローン利用も歓迎

調剤薬局向けの業務効率化支援システムなどを展開しているカケハシの中尾豊社長はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

中尾社長は政府がオンラインによる診療と服薬指導の普及を進めるのに併せて、処方薬を自宅などにいる患者へ届けるラストワンマイルの配達サービスを提供することが重要と指摘。物流事業者らの参入拡大に期待を寄せるとともに、同社としても処方薬宅配を確実に行えるよう何らかの形で物流事業者をサポートしていくことに意欲をのぞかせた。

また、物流事業者らの間で、人口減少が続く離島や中山間地でドローンを使った医薬品の宅配を展開できるよう準備している動きが出ていることに触れ、ドローンと医薬品配送は「非常に相性が良い」と歓迎。配送時の適正な温度管理の仕組み構築など取り組みが広がることを要望した。


取材に応じる中尾社長

宅配利用で「楽だから薬飲み続ける」に

カケハシは2016年設立。患者がこれまでどんな薬を使ってきているかのデータを調剤薬局間で共有できるようにし、薬剤師らの負担を軽減するシステムなどを手掛けている。調剤薬局での処方薬の適正な在庫管理・発注も支援、業務のデジタル化を促進することを目指している。

中尾社長は調剤薬局で既に患者へ処方薬を確実に渡すため、薬局での手渡しにとどまらず24時間稼働の宅配ロッカーや地域のタクシーによる配達を利用する動きが出ていることに言及。

その上で、物流事業者による宅配に関し「基本的に選択肢が増えるのは非常に良いことではないかと思っている。患者さんの志向に合わせた医療体験があるべき姿であり、宅配を使われることでこれは楽だから薬を飲み続けようという気持ちになることが期待できる」と効果を説明。

同時に、患者が正しい薬を受け取り、医師の指示通りに飲み続けているかを確認する仕組みが重要と力説。カケハシがこれまでに開発してきたシステムと連携させることなどを通じて、患者による薬の扱いの動きを追跡・確認できるようにしたいとの考えを表明した。

また、宅配については、患者が受け取るタイミングを選定しなければいけない点を負荷に思う可能性があるとの見方を示し、まず患者に処方薬宅配の成功体験を味わってもらうことが重要であり関係者が連携して注力すべきだとの見解を語った。

ドローンを使った医薬品配送に関しては「医薬品は比較的高単価で、小さいものが多く運びやすい。ドローンと配送は非常に相性が良い」と強調。その上で「ITリテラシーなど細かい点でいろいろと課題はあると思うが、サービスの提供者が消費者の間に認知を広げられるかどうかが最大の重要な点」と解説、ドローン配送に理解を示した。


調剤薬局の業務変革に取り組む(カケハシ提供)

(藤原秀行)

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