手袋や工具を工場設置の自販機などで効率的に調達、年間コスト1900万削減も

手袋や工具を工場設置の自販機などで効率的に調達、年間コスト1900万削減も

ミスミグループ本社が製造業向け新サービス、在庫管理の手間抑制

ミスミグループ本社は4月4日、製造業が工場で保守やメンテナンスなどに必要な手袋や工具、マスクといった間接材を効率的かつ安価に調達できるようサポートする新サービス「MISUMI floow(フロー)」を同日始めたと発表した。

高い頻度で使うものはミスミグループが独自の自販機を顧客の工場に設置し、管理者らが必要なタイミングですぐに購入できるようにするなど、各工場のニーズに応じて細かくサポート。併せて、在庫管理はミスミグループが担うことで顧客の製造業が発注など間接材管理に要する手間を大幅に減らし、製品改良など事業の中核部分により経営資源を投入することを後押しする。

 
 


新サービスのイメージ


工場に常設する自動販売機のイメージ(いずれもミスミグループ本社提供)

同種のサービスは中国の製造業向けに先行して展開、既に約400の工場に1500台以上の自販機を納入している。ニーズは日本の製造業でも見込めると判断、中国で培ったノウハウを投入し新たにサービス展開することにした。

日本では約50の工場で1年間テスト導入した結果、調達業務の時間を7割短縮するなどの成果を確認できた。在庫管理コストを年間1900万円、発注業務を80%それぞれ減らせたケースもあったという。

間接材は多品種に及び発注先が多岐に分かれている上、需要が一定せず変動が大きいことなどから在庫や調達の手間がかさみ、間接材1つ当たりの単価も安いため、コスト抑制が難しいのが課題だった。

フローは高頻度で使用する消耗品を工場常設の自販機で提供するほか、生産設備の留め具や工具など中頻度品は定期配送で発注の手間を減らし、生産設備の規格品など低頻度の都度調達品はミスミが運営しているECサイトや専任窓口で迅速に対応する。国内外3000社のブランドを取り扱うことで、工場ごとに異なるニーズに対応できるようにする。

 
 

自販機は購入するまでミスミグループの資産として扱い、販売した段階で顧客のものとする「VMI」(ベンダー主導型在庫管理)を実施。補充もミスミグループ側が担うことでコストや負荷の軽減につなげられると想定している。

さらに、自販機は誰がどのくらいの数購入したのかのデータを収集、分析できることから、どの部署でどういった間接材が必要とされているかを確認することが可能。

自販機から間接材を取り出すには顔認証やIDパスが必要なため、ミスミグループは使い過ぎを防ぎ、社員のコストに対する意識改革にもつなげられるとみている。

ミスミ日本Factory-MRO企業体執行役員の大内郁浩氏は「年間約150日分のコスト削減効果を得られる。日本の製造業の競争力強化に貢献していきたい」とメリットをアピールしている。


タッチパネルで必要な間接材を選ぶ


自販機から購入した間接材を取り出せる

 
 

(藤原秀行)

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