TOMPLAや出前館など展開、ポートアイランドで実用化へ20日間のテストマーケティング
ドローン関連事業を手掛けるTOMPLA株式会社(トンプラ)は10月13日、兵庫県・(公財)新産業創造研究機構(NIRO)の令和4年度(2022年度)ドローン社会実装促進実証事業として、出前館、吉富運輸、日本コンピューターネット、スターバックス コーヒー ジャパン、神戸学院大学と協働し、10月11日に神戸市のハーバーランドと沖合の人工島・ポートアイランド間で、出前館アプリを利用したフードデリバリーのテストマーケティングを始めたと発表した。期間は11月3日まで。
現在、 国内のドローン宅配は過疎地域で導入が進められている。TOMPLAは次の段階として、ニーズはあるものの配達の担い手が不足している地方都市でのサービス提供が普及の鍵を握っていると想定。ドローンはサイズが小さく軽いものの運搬に適し、特に飲食店のデリバリー需要が予測されているとみている。
ポートアイランド西岸は滞在人口に比して飲食店が少なく、フードデリバリーも飲食店が密集する対岸の三宮地区から橋を渡る必要があるため、配達の請負者が少なく、飲食の選択肢が限られているのが同エリアの居住者らの悩みだった。
そこでテストマーケティングは地域で大きな割合を占める神戸学院大学の学生約6000人と職員、地域住民を対象にスターバックスのコーヒーを、提供元のハーバーランド側から3分間のドローン飛行で届けている。
これまでの実証事業の多くは、 運搬後の食品品質や航路の検証のため、 単日かつ限定された注文回数での実施となり、 必ずしも実際の市場環境と同じ状態になっているとは言えなかった。TOMPLAなどはドローンフードデリバリーの商用化のため、20日間のテストマーケティングに踏み切った。
消費者への周知、広告は、マーケティングを専門とする神戸学院大学経営学部の辻幸恵教授が指導するゼミが担当し、メーンターゲットの大学生のインサイトに基づいた施策を展開する。
【テストマーケティングの様子】
スターバックス コーヒー 神戸ハーバーランド umie MOSAIC店から商品を運搬
商品をドローンにセッティング
商品が入ったドローンが神戸港を渡ってポートアイランドへ
ポーアイしおさい公園にドローンが到着
ドローン着陸の様子
商品を受け取る兵庫県の斎藤元彦知事
使用したドローンを前に、撮影に応じる(左から)出前館・森山海太シェアリングデリバリー本部長執行役員、TOMPLA・藤本高史代表取締役、兵庫県・斎藤元彦知事、神戸学院大学・中村恵学長、日本コンピューターネット・沖貴博代表取締役、吉富運輸・上田裕ゼネラルマネージャー。前列は神戸学院大学経営学部辻幸恵ゼミ所属学生
【神戸学院大学学内配布チラシ】
≪テストマーケティング概要≫
日時:2022年10月11日(火)~11月3日(木) ※予定
飛行区間:高浜岸壁(モザイク大観覧車付近)~ポーアイしおさい公園
運搬物:スターバックス コーヒー 神戸ハーバーランド umie MOSAIC店の商品
テストマーケティング手順と内容:
出前館のアプリで注文された商品を、吉富運輸の離陸ポートのパイロット補助者が店舗から引き取り、ドローン離陸地点(高浜岸壁)に運ぶ。
ドローンの運搬箱に商品を積み込んで、高浜岸壁から離陸し、神戸港を横断、約5分後にポーアイしおさい公園に着陸する。
着陸後、着陸ポートのパイロット補助者が、着陸ポートまで受け取りに来た注文者に手渡す。
◆事業実施各社の主な役割
TOMPLA株式会社:本実証事業主体社、事業統括、ドローンオペレーション統括、独自ドローンおよび技術者提供
株式会社出前館:注文プラットフォームの提供
株式会社吉富運輸:ドローンの遠隔運航管理
日本コンピューターネット株式会社:ドローンの遠隔運航管理及び指導
スターバックス コーヒー ジャパン株式会社:飲料の調理、提供
神戸学院大学:消費者への周知、広告
◆事業支援行政の主な役割
兵庫県およびNIRO:実証事業の助成、地域および関係者との調整等
神戸市:実証事業協力 地域及び関係者との調整等
近畿経済産業局:実証事業協力 各所関係者との調整等
(藤原秀行)※写真はいずれもTOMPLA提供