20年代半ばの処理システム実装目指す
LPG(液化石油ガス)元売り大手のアストモスエネルギー、未使用資源の利用促進事業を手掛けるサステイナブルエネルギー開発、日本郵船の3社は10月14日、船上で発生した有機物を有効利用できる技術「ISOPシステム」の実用化に向け連携すると発表した。
2020年代半ばをめどに船上での実証実験の完了と、ISOPの船舶への実装を目指し、共同検討を加速させる。
通常、船上で発生したごみは船上の甲板に保管され、引き取りが可能な寄港地で引き渡されているが、船上ごみの運搬や焼却に伴ってCO2が発生している。例えば大型LPG(液化天然ガス)船(VLGC)の場合、日本と中東を往復する約45日間の1航海ごとに、プラスチック類を中心に約5000リットル相当のごみが出ているという。
3社は可燃ごみなどからバイオ燃料を生成するISOPシステムを船上に設置、運用する有機物燃料化事業の展開を視野に入れている。
ISOPはごみ処理後のバイオ成分を燃料に変換し、有機物処理全体におけるCO2排出量を削減することが可能。また、ごみの分別が不要で、処理装置を小規模化できる点がメリット。外航船へISOPを設置することで、処理後のバイオ成分をエネルギーとして活用し、海上輸送全体におけるCO2排出量を削減できると見込まれる。
さらに、航海中に発生した有機物を船上で処理すれば船上保管場所の圧縮につながり、衛生環境の観点からも船員の労働環境改善に寄与するとみている。
船上に保管されたごみ
ISOPの概要(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)