SBSHD・鎌田社長、5年間で物流施設14万6000坪増床と説明

SBSHD・鎌田社長、5年間で物流施設14万6000坪増床と説明

数年内の連結売上高3000億円到達に自信

 SBSホールディングスの鎌田正彦社長は2月19日、東京都内の本社で開いた2018年12月期決算説明会で、事業基盤となる物流施設への投資を加速していることに触れ、23年までの5年間で約14万6000坪(約48万1800平方メートル)を増床する計画を明らかにした。

 また、昨年買収したリコーロジスティクス(現SBSリコーロジスティクス)と連携して3PL事業を拡大することなどにより、数年以内に連結売上高3000億円へ到達することが可能と予想。「社内では5年以内に達成との目標を掲げているが、内部集計を見ると5年は掛からないだろう。できるだけ早期に実現したい」と成長持続に強い自信をのぞかせた。


決算説明会に臨む鎌田社長

千葉・野田で26万平方メートル超の大型拠点開発へ

 鎌田社長は物流施設開発に関し、19年に大阪市の臨海部で「南港物流センター」(延べ床面積6万1274平方メートル)が3月に完成する見込みとなっており、現状は百貨店や小売業など賃貸借部分の約8割で入居が固まっていると説明。

 さらに12月には千葉県野田市で「野田瀬戸物流センター」のA棟(12万2602平方メートル)が着工、21~22年にはB棟(14万3362平方メートル)の建設も開始する予定になっていることを紹介した。


「大阪南港物流センター」の完成イメージ(SBSロジコムのホームページより引用)

 SBSグループは3PL事業を展開するための物流施設を自ら建て、順調に稼働させて投資家に売却、投資資金を回収して次の物流施設開発に充てる流動化のサイクルを確立している。

 鎌田社長は、流動化など不動産分野の営業利益が16年は全体の66・4%を占め、物流分野の29・4%を大きく上回っていたが、18年は44・7%と52・2%という比率に逆転、19年も39・7%と57・1%を見込んでおり、比重が変わってきていることを紹介。
「流動化はもともと物流事業の売り上げと利益を増やすために始めた手法だった。最近は不動産を開発して当社が借り上げ(テナントにサブリースした上で物流施設内の)オペレーションを受託する事業がだいぶ軌道に乗ってきた。今後は(物流の営業利益に占める割合が)60、70、80%へ伸びていくと思う」と語った。同時に、流動化自体は今後も一定規模で継続するとの見通しも示した。

 物流施設開発については、割安な開発用地を押さえて賃料を近隣相場より低く設定することで優良なテナントを獲得し稼働率を向上、投資先として魅力を高めるスキームを今後も継続する姿勢を強調。

 米中経済摩擦などの影響で景気減速の懸念が高まっていることに対しては「当社が造った倉庫の賃料が高くてお客さまが入らないことは今まで10万坪規模開発してきて一度もなかった。デベロッパーが先進的物流施設を開発しているが、当社は全然違うやり方で闘っている。当社の方が賃料は圧倒的に安いので、さまざまな問題があったとしてもそんなに心配はないんじゃないか。社内では100万坪くらいやるぞとは言っているが、それくらいまでは行けると思っている」と自信をのぞかせた。

 併せて、用地取得は今後も東名阪を軸に高速道路のインターチェンジ近隣などで割安な物件を探していく意向と述べるとともに「港湾地域など不動産開発会社と競合しづらいエリアを対象に選定している」と語った。

SBSリコーロジとのシナジー効果向上プロジェクトを展開

 3PL事業については、SBSリコーロジスティクスと協力し、海外を除いた売上高を18年12月期実績の889億円から19年12月期は27%増の1129億円まで拡大させる計画を表明。

 同社とのシナジー効果を一段と高めるプロジェクトとして、21年に横浜市で開発を想定している拠点「横浜金沢」をSBSリコーロジスティクスが得意とする分野に合った仕様とするほか、香港やタイなど海外拠点の統合、燃料や車両などの共同購買推進に取り組んでいることに言及した。

 さらに、BtoB、BtoC双方の配送事業に関し、SBSリコーロジスティクスが持つ幹線・地域配送網を活用し、名古屋エリアに進出する意向を表明。サービス対象地域を広げていくことに強い意欲を見せた。名古屋では1万~2万坪程度の物流拠点を建設する方針で用地選定を進めているという。

(藤原秀行)

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